開校84年…松本衣デザイン専門学校最後の卒業展

服と社会のつながり感じて

1937(昭和12)年に、旧満州(現在の中国東北部)で「青葉洋裁研究所」として発足した松本衣デザイン専門学校(松本市中央2)。本年度末で84年の歴史に幕を下ろす。
最後の卒業生となる学生12人が成果を発表する展示会「展示Lab(ラボ).ファイナル」は、27日~3月5日に同校で開く。
誰がどの作品を着るか、どんなメークが衣装に合うか…。期間中に会場で上映する学生たちのショー動画の撮影は、仲間同士で知恵を出し合い、演出や音楽を工夫し、納得いくまで何回も挑んだ。テーマは「ホラー」。不気味な音楽とともに、自ら制作した衣装を身にまとった学生がスクリーンに登場する。
同校最後となる今回の展示会。例年に増して充実した内容にしよう-と、学生たちは準備に力を入れている。

時代の先行く教育

松本衣デザイン専門学校の前身「青葉洋裁研究所」は、元校長の故窪田元子さんが創設し、戦後、松本市に拠点を移した。
同校によると、当初は主に「花嫁修業」の目的で洋裁を学ぶ女性が多かった。1960~70年代ごろからファッションビジネスを学ぶ場に軸足を移し、それまでの「洋裁学校」的な位置づけから、女性の自立、ファッション関連のキャリア教育を重視するカリキュラムとなった。
80年代になると、いち早く地球環境の保全や格差、ユニバーサルデザインなどの問題に着目。人にも環境にも優しい衣服作りの教育にも力を入れた。
学生の視野を広げるため、海外校と提携した留学制度を設け、全国の衣服デザインコンクールにも積極的に挑戦。地方のデザイン専門学校としては数多くの入選・入賞者が輩出した。
学生と教員が1対1で向き合う少人数教育も特長。荒井利江校長代理は「学生と何回もけんかした」と振り返る。そんな同校もデジタル化など教育環境の変化を背景に、4年前から計画的に募集人員を減らし、最後の展示会を迎える。

SDGsテーマに

今回の展示会のテーマは「SDGs(持続可能な開発目標)」。各階ごとに違った指標に沿って作った衣服を展示する。例えば、3階は「技術革新」で、素材が化学繊維中心の衣服、4階は「ジェンダーフリー」で、体形や性別にとらわれない衣服、5階は「地球環境」で、要らなくなった端布や化学繊維を使わず土に返る衣服|など。このほか、6階では学生のプレゼンテーションで、実際の授業風景を見学者が1回6人限定で楽しめる。

学びを糧に未来へ

今春卒業する学生たちに、展示会にかける思いを尋ねた。春から横浜で洋服の販売スタッフとして働く進藤雄斗さん(3年、21)は「学校と講師の方に感謝を伝えるべく全力で取り組んだ。技術ももちろんだが、人として成長できたことがすごく大きい」。県内で縫製の仕事に就く堀川みのりさん(2年、20)は「少人数だからこそ先生や先輩に相談やアドバイスをもらい、伸び伸びと学ぶことができた」。栃木県内の縫製会社に就職する田中美月さん(3年、21)は「この学校で学んできた環境問題やサステイナブルについては、意識を広げるため、卒業後も思いや情報を発信していきたい」と話す。
「展示会で、服と社会とのつながりを実感していただければ」と太田正子校長。卒業生に向けては「人生をたくましく、楽しんで、歩んでいってほしい」とエールを送る。