松本深志高・清水さんら3人主導し学校HP刷新

「深志らしさ 」 内外に情報発信

松本深志高校2年の清水龍之介さん(17、松本市筑摩)は中学3年生の時、進学を志望していた同高のホームページ(HP)を開いて絶句した。
ひたすら文字が並び説明調。それもそのはず、清水さんが生まれた2003年に作られたままだった。読みにくく、学校の特徴も伝わってこない。清水さんはそう感じた。
「深志に入ったらHPを変えたい」。無事に入学を果たし、生徒会に入ると、半年後には中学時代の仲間、佐藤司門さん(17、同市丸の内)と宮沢佳成さん(17、同市梓川倭)を生徒会に誘い、HP刷新に着手した。
紆余(うよ)曲折を経て新デザインが完成、3月26日の新入生オリエンテーションで披露する。新旧サイトの切り替えは3月19日以降を予定している。

その道のプロと

2月8日、松本深志高でHP刷新を検討する会合の定例会があった。清水龍之介さんら生徒会有志10人、通信大手KDDI(東京)地方創生推進部の社員、デザイン会社「エイブルデザイン」松本支社のデザイナーやエンジニアが出席。デザインの詳細を検討した。
「ここは情報量が多くて読みにくいので、分割して表にできないか」。生徒が閲覧側の視点に立って指摘すると、デザイナーは解決策を提示。会議は2時間に及んだ。
定例会は昨年10月から毎週のように開催。佐藤司門さんは「最近は1年生から積極的に意見が出るようになった。主体的に関わってくれている」とうれしそうに話した。
清水さん、佐藤さん、宮沢佳成さんが目指したのは、私立高校のHPに負けないような質。「コンテンツは生徒が考え、デザインはプロに任せる」。そう計画を立て、1年の秋に動き始めた。だが、制作費やセキュリティーなどの壁にぶつかり、2020年になると新型コロナウイルスによる休校で活動そのものが頓挫した。
そんな彼らに追い風が吹いた。昨年8月、県教育委員会がKDDI、県立大学と包括連携協定を結び、KDDIの物的、人的支援を得ながら生徒が新たな挑戦をする「学校×KDDI共創プロジェクト」がスタート。清水さんたちのHP刷新計画はこの事業に採択されて息を吹き返した。

学校の特徴反映

「なぜHPを刷新するの?本当に変えないといけない?」。初回の定例会でKDDI社員らから投げ掛けられた言葉は、生徒たちにとって最も大きな学びとなった。
「それまで僕らは『どう変えるか』しか考えておらず、『なぜ変えるのか』に焦点を置いていなかった」と清水さん。問題の本質とHPにできることを探る中で、生徒たちは同校の伝統である「自治」に着目した。
近年、同校では生徒会役員の立候補者が出そろわない、役員選挙の投票数が規定数に達しない、などの事例が発生。「学校や他人に対して無関心が広がっていて、自治が失われつつあると言われている」(佐藤さん)のを受け、まず「生徒が自治を体現し、また、中学生が深志の自治を感じられるHP」というコンセプトを決めた。
目標が固まったことで、サイト内の幾つかのページを生徒会が管理し、部活動や文化祭など生徒のさまざまな活動を生徒自らが発信するページを設ける-といった設計の方向性も定まっていった。
外部に公的に情報発信する学校の公式HPの一部を生徒自ら管理するという、自律的な「深志らしい」取り組み。「情報を発信したり校内で行われていることを知ったりすることで、生徒が自治を意識するきっかけになれば」と清水さん。「HPを見た中学生に『深志は面白そう』『深志に行ってこんなことをしたい』と思ってもらえたら」と期待する。
HPは立ち上げてからが勝負。「続かなければ意味がないよ」。これも、3人の心に刺さったプロの言葉だ。後輩たちもHPの管理運営ができるよう、仕組みやガイドライン作りにも取り組む。
「何年も先のことまで視野に入れていろいろ考えなければいけない」。まず思い立ち、作業を進め、一端は頓挫し、作業を再開して実現、さらに未来へ向け継続の種をまく-。今回の取り組みで多くを学んだ3人。ブラッシュアップされたのはHPだけではなかったようだ。