【なないろキッズ】 #55 子どもの感性受け止めて

物事の視点や感じ方は人それぞれです。特に発達の偏りのある方は、独特の感性や視点を持っている方もいて、少数派ゆえに誤解されたり、否定されたりすることも少なくないのです。
Aちゃんは小さいころから他の人にない発想や発言が多く、「不思議ちゃん」などといわれていました。お母さんはAちゃんの自由過ぎる発想や、空気を読めず相手に失礼になってしまう発言が多いことを苦にしています。
ある日、親戚のお葬式に参列した際、「あそこの長い箱(ひつぎ)の中には何が入っているの?」「(お経のことを)これ何語?外国語の歌、長過ぎるよ」「線香臭いから早く帰りたい」などと言うので、お母さんは困ってしまい「静かにしなさい」と怖い顔でたしなめました。
そして帰宅後、「本当に恥ずかしかった」「小学5年生にもなって、たった1時間静かにしていることもできないの!」と一方的に叱り、何時間も不機嫌のままAちゃんのことを許してくれません。
こんな調子で物心がついたころから、Aちゃんは素朴な疑問を口にしても答えてもらえることはまれで、「変なことを言う」「つまらないこと聞かないで」と無視されたり、「失礼でしょ」と怒られたりしてばかりでした。
独特な感性の子は、感じたことや思ったことを何げなく発言すると、変人扱いされたり、否定されたりしがちです。でも否定されることが重なると、自分に自信が持てなくなり、考えを誰かに話すことが怖くなってしまいます。ついには人間関係を築くこと自体に影響が出てしまうこともあります。
子どもの素直な感じ方はそのまま受け止めてあげたいものです。わが子が何に興味を持って、何を疑問に思うのかを共有していくことで、わが子への理解が深まり、子どもの好奇心を育てたり、苦手やストレスになることを見つけたりすることにもつながります。