【像えとせとら】信州焼肉南山(ナムサン)亭 トルハルバン (松本市深志2)

店と地域守る“おじいさん”

オフィスビルや立体駐車場が立ち並ぶ松本市の中心市街地。焼き肉・韓国料理店の店先に不思議なフォルムの石像が。帽子をかぶり大きな目をした人の像で、おなかの上に両手を置く。無表情のようで、よく見るとユニーク。でも、ちょっぴり謎めいてもいる。
高さ2メートル近く。説明書きはない。写真を見た同僚は「韓国・済州島の『トルハルバン』では?」。旅行で訪れた際、島のあちこちで目にしたという。
店を経営するユウス(上田市)に聞くと、やはりトルハルバンだった。松本駅前店が2005年に開店した当時から入り口に置き、店内の建具や調度品とともに韓国の風情を演出している。経営者のルーツの地・済州島から海を渡ってきた。「石のおじいさん」という意味で、済州島を象徴する像という。いわれは諸説あるそうだが、村の入り口に置かれ、疫病などから守った守護神のような存在だともいう。
当初は4体あり、その後に開店した佐久市と上田市の店に1体ずつ引っ越した。現在は東側の正面入り口と西側の入り口に1体ずつ。それぞれ手の位置が異なる。おおらかにたたずむ街頭の像に、コロナ退散を願う人がいるかもしれない。
「雪の日は、帽子の上に綿帽子をかぶるんですよ」とフロアマネジャーの窪田和也さん。おじいさんのかわいらしい姿、ぜひ見たい!春の雪がちょっと待ち遠しくなった。