山に魅了され「株式会社山屋」設立

「山に登って働きます!」

「山に登って働きます!株式会社山屋」。そんなうたい文句の会社を、静岡県沼津市出身の秋本真宏さん(29)が1月、松本市安曇に設立した。事業内容は動植物や地質の調査、ロープを使った作業、荷物を運ぶ歩荷(ぼっか)など登山を伴う業務。1年中、山で働くことが秋本さんの目標だ。
秋本さんは沼津工業高等専門学校で化学を学んでいた18歳の時、友人の父親の誘いで木曽駒ケ岳に登り、山に魅了された。卒業後は信州大学農学部森林科学科に編入し森林生態学を専攻。フィールドワークに熱中した。
建築関係の会社に就職したものの「やっぱり山で仕事をしたい」と退職。ためたお金で1年間、全国各地の山に登り、山小屋の従業員ら山で仕事をする人に話を聞いて、自分ができる山の仕事の可能性を探った。
山の仕事は2016年から始めた。県山岳遭難防止対策協会夏山常駐パトロール隊にも5年間参加。ガイド、救助活動、動植物の調査、登山道の新設・整備、通信機器の設置・撤去、テレビ撮影のサポートなど、業務は多岐にわたる。山での経験、人脈を増やしながら「山を知りたい!学びたい!」との思いで山と向き合ってきた。
山に1年間こもっていたころに出会った人たちからも、少しずつ依頼が寄せられるようになった。個人として山の仕事に対応してきたが、仕事が増えてきたこともあり、依頼にきちんと応えるため、ガイドやクライマーなど仲間の協力を得て会社組織にした。
高専で学んだ化学は土壌調査の仕事に生きた。依頼主には、山に関するアドバイスや提案もする。きつい歩荷も「自分が関わった仕事の成果に役立ったと思うと、楽しくて仕方がない」と笑う。
社名は山に精通している人を指す「山ヤ」から付けた。「花屋さん、植木屋さんと同じように、山の仕事をする山屋さんと親しみを持って呼んでほしい」と話している。