現代美術 創作楽しむ片瀬さん

ジャンルのない独自世界

光沢、立体感、独特の質感―。絵の具に加えて石こうや木工用の接着剤を使ってキャンバスに描かれた「入園式」という題名の1枚は、私たちが考える「絵」の概念を越えている。作者は池田町会染の現代アーティスト、片瀬琴絵さん(22)。具体的な形はないのに、満開の桜や子どもたちの姿が浮かんでくる。

現在は、現代美術家協会の公募展に応募する予定の作品を制作中。片瀬さんは接着剤をキャンバスに塗り、絵の具を付けたクリアファイルをこすりつける。「夏」をイメージしているといい、創作する様子は心底楽しそうだ。
「ジャンルがあるものには興味がない」という。それは作品にとどまらず、画材にも及ぶ。町内産のラベンダーやカボチャ、ブドウなどを乾燥機に入れ、粉にする。「黄色のカボチャの実は、粉にすると黄緑になる。発見が面白い」
その粉でシルクスクリーン(版画)を刷ったり、クレヨンを作ったり。「遊んでいる子どもが『何作ったの、それ?』って大人に驚かれるような感覚が楽しい。そういう気持ちで、いろいろ作ってみたい」

不安も絵を描けば

小さいころから絵が大好きで、睡眠障害に悩まされた高校生のころに本格的に描き始めた。夜、頭の中に現れる形をヒントに、アクリル絵の具で繰り返し描いた。描き終わると騒がしい頭の中がすっきりし、眠れるように。焦りも不安も、絵を描くことで解消できた。
松本市内の高校を卒業し、京都の大学に進んだが、体調を崩して1年後に古里に戻った。石こうと出合ったのは、市内のゲストハウスの壁に絵を描いた時。「石こうは立体作品のイメージがあったが、絵も描けるんだという新鮮な驚きがあった」
昨夏には個人会社「CocoroColor(ココロカラー)」を設立した。「絵で食べていこうという決意表明です」。研究、発見、挑戦―などをキーワードに、今後もさまざまな作品に取り組むつもりだ。

28日まで作品展「Art Brut(アール・ブリュット)」を、BELL WOOD COFFEE LAB(安曇野市豊科、電話0263・75・3319)で開催中。「入園式」など約30点を展示した。午前10時~午後6時。月、火曜休。片瀬さんは会期中の水、土曜午後0時半~6時に店にいる。