「松本ブランド」卓球ラケットを

松商学園卓球部OBがメーカー設立 夢への挑戦

松商学園高校(松本市)卓球部の先輩、後輩が、第二の人生を卓球に懸ける─。
2人は、中田朝友さん(76、同市島内)と中野和茂さん(68、同市波田)。県内初となる卓球ラケットのメーカー「センターフィールド」を設立。4月1日から「RallyAce(ラリーエース)」というブランド名で販売を始める。
部を強くしたいという思いから、同校卓球部の監督を長年務めた中野さんが25年前、「もっといいラケットを作れないか」と、先輩で住宅工務店を経営してきた中田さんに相談。松本の地元ブランド作りがスタートした。
商品のキャッチフレーズは、音楽を奏でるような打球音と振動から「響くラケット」。卓球強豪国の日本に、この音が響き渡るのを夢見る。

県内初 卓球ラケットメーカー センターフィールド 松本市

指導者の目線で天然木こだわり

松本市島内にある卓球ラケットの新メーカー「センターフィールド」の事務所。営業技術を担当する中田朝友さんが、完成したラケットで球を打つ。「かん、かん、かん」という金属音にも似た心地よい音は、使っている木材の種類で明らかに異なる。「いい音でしょ。これが天然木の音」
「卓球のラケットはラバーとの相性が大切だが、いいラケットは1球打てばすぐに分かる」。製品監修を担当する中野和茂さんは、3年前まで約40年間、松商学園高卓球部監督を務めた指導者ならではの目線で解説した。
同社が「RallyAce」のブランド名で発売するラケットは、使う木材ごとに「リンバ」「ゼブラウッド」「メイプル」「マホガニー」の4種類(14アイテム)を用意。スイートスポット(球を打つのに最適な箇所)の広さが最大の特徴という。中田さんは「リンバ以外の木材は卓球のラケットでは珍しいのでは」と話す。

木材に詳しい先輩に相談し

中田さんは高校卒業後、楽器製造などの富士弦楽器製造(現フジゲン、同市平田東3)に入社。ギター製造に携わり、常務まで務めた。1996年、同社を退社。住宅工務店「スペースウェアハウス」を同市平田西1に創業した。
松商学園高の監督だった中野さんがラケット作りを相談したのは、ちょうどその頃。中野さんは「当時のラケットは性能が良くないものが多かった。木材に詳しい中田さんだったら相談に乗ってくれると思った」と明かす。
同部の後輩でもある中野さんの要請を快諾した中田さん。2人のラケット作りが始まった。中田さんが大工らと一緒に試行錯誤して作ったラケットを、中野さんが部員らに試打させる。それを繰り返し、200~300本を作ったという。

仕上がりに自信4月1日発売へ

ラケット作りに本腰を入れる転機となったのは2004年。中野さんの教え子が、卓球用品の大手メーカーに就職し、商品開発会議の場で中田さんの作ったラケットを見せると「どうしてこんないいラケットを今まで出さないんだ」との声が。翌日、同メーカーから中田さんにラケット基板(打球面)量産の提案があり、OEM(相手先ブランドによる生産)供給が決まった。以後、現在まで約15万枚を出荷した。
後輩の部員たちにいいラケットで戦ってもらいたい|。そんな気持ちから出発したラケット作りだが、OEMを機にビジネスとしての道を本格的に歩みだした。「やっぱり完成品を作らないと面白くないでしょ。若い世代に技術の継承もしたかったし」と中田さん。
自社ブランドのラケットとOEM供給する基板は、共に塩尻市内の工場で製造する。自社ブランド製品については現在、4月1日の発売に向けて全国に300近くある卓球用品店に向けパンフレットなどを発送する作業に忙しい。
「かなりレベルの高いラケットに仕上がった」と中野さん。中田さんは「3、4年は地道に拡販してブランドイメージを上げたい。ゆくゆくは日本代表クラスの選手に使ってほしい」。先輩と後輩の新たな夢への挑戦が始まった。
製品の詳細は同社のサイト(「ラリーエース」で検索)で。