【なないろキッズ】 #56 「NO」苦手な子気遣いを

学校に通いづらくなっているお子さんから、とてもよく聞く、学校に不信感を持ったエピソードとして、「先生にうそをつかれた」といったことがあります。
例えば「3時間目だけでいいから学校においで」と言われてしぶしぶ登校したら、そのまま最後の帰りの会まで帰れなかった…。というようなことです。
先生はこうおっしゃられます。「登校してみたら、友達とも仲良く話をしていて、いい顔もして楽しそうにしていたから大丈夫かなと思った」。また、「本人にも『もう少しいられるか?』と、確認して、大丈夫だと言われたので」と。ここまでセットでよくあるエピソードです。
学校に通いづらくなるお子さんの中には、繊細で「NO」と言うことが苦手なタイプの方がいます。学校に行くと普通の顔をして、何でもそつなくやりこなし、そんなに大変そうには見えません。笑顔も見られます。
内心はすごく緊張していたり、不安を感じたりしていても、外の世界では普通に振る舞ってしまうので、とても疲れてしまいます。このタイプの方は先生に、「大丈夫?」と聞かれて、その場で「疲れました」「もう帰ります」と言うことはできないのです。
そして他人が発した言葉をストレートに受け止めています。「3時間目だけ」と言われたら、「3時間目だけ頑張ろう」と思って、決死の思いで登校します。なのに、そのままずるずると長時間帰れないままになったら、「3時間目だけって言ったのに…」という、その時の絶望感、裏切られ感は、多くの人が想像するより、ずっとずっと根深いものなのです。
何げなく発した言葉は、状況によって臨機応変に変わることもあるとは思います。しかし、繊細で生真面目で、自己主張が上手じゃないタイプのお子さんの場合は特に、簡単には翻すことがないよう、お気遣い願います。