川崎市から移住猫カフェを開業

「ゆったり、ゆっくり暮らしています」。のどかな山里で、大好きな猫に囲まれ、畑を耕す生活を送る。
筑北村坂北の自営業岡本久美江さん(52)は昨年夏、農地付きの家を買い、川崎市から移り住んできた。自宅では「泊まれる猫カフェ『クラシコ』」を開業。動物愛護団体が保護した猫たちと暮らしている。
横浜市内で6年間、猫カフェを営んできたが、コロナ禍で売り上げが減少。家賃負担が軽い場所を探し、同村へ。畑仕事の経験はないが、マイペースで野菜などを作っていくつもりだ。
「音とかにおいとか、小さな無数のストレスから解放されてすっきりした」と岡本さん。店名になぞらえた「古(いにしえ)の暮らし」へと、時を巻き戻しているかのようだ。

泊まれる猫カフェ「クラシコ」 岡本久美江さん 筑北村

動物愛護団体保護猫たちと

岡本久美江さんの自宅兼店舗は築31年の木造平屋。6部屋あり、このうち4部屋が「泊まれる猫カフェ『クラシコ』」の営業スペースになっている。
猫と触れ合える「猫部屋」はそれぞれ6畳の和室と洋室。飲食可能なカフェスペースには6畳の和室を充てている。民泊向けには8畳和室を使う予定で、現在は整備中だ。
「猫部屋」には2~11歳の9匹がいる。いずれも関東を中心に活動している動物愛護団体「ちばわん」の保護猫たちで、自身の飼い猫2匹を除く7匹は、預かりボランティアとして岡本さんが預かっている。避妊・去勢手術、ノミやダニの駆除などの処置が施されている。

コロナが影響古民家で再開

岡本さんは15年ほど前に預かりボランティアを始め、2014年に横浜市に「里親募集型猫カフェ『ブラン』」を開業した。子猫に比べて飼い主が見つかりづらい成猫を専門に預かり、猫カフェを通じて50匹以上の譲渡を実現してきた。
しかし、コロナ禍の中で売り上げが落ち込み、店の家賃が大きな負担に。悩んだ末、昨年8月に閉店し、猫の保護と譲渡を続けるのに適した古民家を筑北村に見つけ移住した。店を再開するための資金の一部はクラウドファンディングを利用。全国の245人から275万円が集まり、ペットフードやシーツも届いた。

整備した畑で野菜の栽培も

「コロナの影響は動物にも及んでいて、それを心配してくれる人たちがたくさんいるのを実感した。返礼品の郵送が大変だったほどで、本当にありがたい」と話す。
今後は、農業体験やキャンプなどイベントスペースとしての営業も視野に入れる。「皆さんに楽しんでいただける場所にしていきたい」と岡本さん。30日には、シリーズ化を目指すお茶会の初回「美(お)味(い)しい紅茶の淹(い)れ方と小物のご紹介」を予定している。
横浜市で生まれ育った岡本さんが、筑北村で暮らして約半年。使い慣れないエンジン付き草刈り機や鍬(くわ)で、自宅前の畑を整備。この春はジャガイモやトマトなどを植え付ける計画だ。
「近所の人たちから柿の実やフキノトウ、畑の土づくりに|と落ち葉もいただいた。星はきれいだし、静かだし、庭でジャガイモも焼ける。みんな田舎に住めばいいのに」と笑顔を見せた。

【泊まれる猫カフェ「クラシコ」】営業時間は午前11時~午後6時。現在は完全予約制。不定休。「猫部屋」の利用料は30分600円、以降15分ごと300円。割安なコース料金もある。30日のお茶会「美味しい紅茶の淹れ方と小物のご紹介」は定員4人で参加費