カフェオープン70代新たな挑戦 カフェ紫陽花・浅野さん

塩尻市広丘堅石に昨秋、カフェがオープンした。名前は「カフェ紫陽花(あじさい)」。切り盛りするのは浅野まさ子さん(71)。70代になっての新たな挑戦だ。
不動産業を営んでいたが、2007年、夫の弘文さんが亡くなったのを機に廃業。その後、パートで働いてきたが、「誰にも気兼ねしなくていい仕事がしたい」と考え、「これしかない」と思い付いたのが好きな料理を生かしたカフェだった。
所有するマンションの1室を店舗に改装。営業中はのれんが入り口に掛かり、店名を書いた看板が出る。女子会仲間が集まったり、マルシェが開かれたり。「もうけようとは思わない。大好きな料理で喜んでもらえたらうれしい」。自ら始めた「誰にも気兼ねしなくていい仕事」を楽しむ。

自分のペースで好きを仕事に

毎月最終日曜、浅野まさ子さんの「カフェ紫陽花」で開かれるデイズ・マーケット。ハンドトリートメント、タロット占い、姓名判断、ワークショップなど盛りだくさんの内容だ。料理を食べながらイベントに参加したり会話を楽しんだり。飲み放題のソフトドリンク片手に、時間を忘れて長話をする人も。
浅野さんは1人暮らしで、料理を作っても食べてくれる人がいない。1人だと話をする機会もない。カフェはそんな浅野さんに豊かな時間を提供してくれる。頭を使ってメニューを考え、手を動かして料理を作る。訪れた人と会話もできる。「究極のぼけ防止。だから多少赤字でもやっていける」と笑う。
パートで働いていた頃は、周りに若い人が多かった。同じようにやろうとするが、体が思うように動かない。腰痛もひどく、一度手術をしたが痛みは取れない。「周囲に迷惑をかけず、自分の判断で融通がきく仕事を」と思い、パートを辞めてカフェを開いた。
店名は、外に咲くアジサイを見て友人が付けてくれた。料理は中華、韓国、和食、洋食と多彩。1500~2500円程度で、好みに合わせて作る。デザートも入れて10品以上と、おなかも心も満足するラインアップだ。カレールーは、長崎に住む親友の行列ができる店から取り寄せる。

理想の飲食店追求「一生現役」目標に

安くて、おいしくて、量があって、落ち着いて過ごせる―。「自分が飲食店に求めるものをすべて注ぎ込んだ」という。
当初は、土、日曜、祝日に店を開けていたが、誰も来ない日が続いた。「待っているのは精神的に良くない。食品ロスにもつながる」。そう考え、予約制にした。
腰の痛みは、なかなか取れない。体と相談しながらの営業だが、「ずっと続けていきたい。この年齢で自分の好きなことを仕事にできるのはありがたい。料理を食べてもらい、お金までもらえるなんて、こんないいことはない」。
疲れたら休み、疲れが取れたらまた歩き出す。「一生現役」を目標に今日も料理と向かい合う。「今が何もかもちょうどいいね」。自分のペースに合った新しい生き方に挑む70代はまだ始まったばかりだ。

【カフェ紫陽花】塩尻市広丘堅石のマンション「ツインズアサノ」101号室。営業は正午~、ラストオーダーは午後8時めど。不定休。料理は、インスタグラム(「ajisai6210」で検索)にアップしている。