スマホで撮った「写心」たち

勝野里美さん 25日まで安曇野で写真展

スマートフォンのカメラで撮影した大自然の姿や身の回りのほっとする一瞬。依然として収束が見通せないコロナ禍の今、「疲れ果てた人の心に癒やしを届けられたら…」と写真を撮りためてきた女性の夢が実現した。
安曇野市穂高北穂高の主婦、勝野里美さん(44)。25日まで同市穂高有明のギャラリーレクランで「光の五線譜」と題した写真展を開いている。作品はすべて、スマホで撮影。四季折々、繊細な女性の心の目で捉えたメルヘンチックな世界から、一期一会に変幻する雄大な大自然の表情をダイナミックに表現したものまで多彩だ。
10年前からスマホ撮影に凝り、インスタグラムに投稿してきた。自身の作品を「気持ちそのままを撮っているから写心」と話す勝野さん。その写心たちが並ぶ会場をのぞいてみた。
昨年11月1日、勝野里美さんのスマホにメールが届いた。ギャラリーレクラン企画運営担当の貫(ぬき)進一郎さん(69)からの写真展の開催依頼。「夢がかなうチャンス」。勝野さんは「私の写真でよければ…お願いします」と返信した。
展示用作品の準備を始めた1月下旬。ふと気付いた。画像データの容量が小さく拡大プリントができない…。色調もスマホの液晶画面のように鮮やかにならない。「夢が消えていくような絶望感に襲われた」と勝野さんは振り返る。
2月上旬、写真教室などで交流のあった記者に「解決策を教えてほしい」とのメールが勝野さんから届いた。作品のデータを数枚預かり、パソコンを操作しながら四苦八苦。ようやくA3ノビサイズ(329×483ミリ)までプリントできるようになったのは写真展開催の20日前だった。
会場にはA3サイズの作品52点を展示。作品のタイトルは付けていない。会場でひときわ目を引く、桜花と有明山をモチーフにした代表作の前に立つ。爽やかな水色の空を背景に、ピントが合っているのは薄紅色の4輪の桜花だけ。温かく優しいタッチの表現が癒やしの世界へと誘い、見つめていると次第に心が開いてくる。
何か良いことに出合いそうなポジティブな予感がして見ていて心地良いのは、二重の虹の架け橋と満開のソバ畑のコラボ写真。夜明けの富士山、ハクチョウの雪形が朝日に浮かぶ有明山、撮影が難しい星空、ファンタジックな玉ぼけの水滴…。スマホを通して被写体を見る「心」は、氷の中で生を貫く緑の葉の小さな命にも向けられている。
「居心地が良く元気が湧いてきます」と、大町市平の青島清子さん(51)。勝野さんの「写心」たちが見る人の心を癒やす。午前10時半~午後4時半。火、水曜休館。TEL0263・31・6969