松本第一高出身・百瀬大騎さん DeNA選手引退新たなステップ

「プロ野球選手になって、本当に良かったと思っています」
今季から横浜DeNAベイスターズの球団職員となった松本市沢村出身の百瀬大騎さん(24)。松本第一高校で俊足、強肩の内野手として鳴らし、2014年のドラフト会議でDeNAから6位指名を受け入団。1軍定着を目指したが、昨シーズン限りで現役を退いた。
1軍での通算成績は出場5試合で5打数1安打、1打点。「結果を出せずに悩んでばかりだった。今はそれから解放され、ほっとしている」。記者に心の内を素直に明かした。
高校卒業と同時に飛び込んだ実力勝負の厳しい世界。目標は果たせなかったが「きっと今後の人生のプラスになるはず」。次のステップに向けて動きだした。

「プロになれ本当に良かった」

プロ野球横浜DeNAベイスターズの現役選手を引退し、球団職員に転身した百瀬大騎さんにプロ生活を振り返ってもらい、今後の抱負を聞いた。

―今の心境は。
「後悔や思い残すことはなく、気持ちの切り替えはできている。現役時代は結果が思い通りに出なくて悩んでいることが多かった。今は、無理に野球のことを考えなくていいのでほっとしている」

―プロ選手になって実感したことは。
「足には自信があったが甲子園にも出場しておらず、自分のレベルがどの程度か分からなかった。『何とかなる』と思って入団したが、実際にプロの投手が投げる球を見て『どうやったら当たるのか』と衝撃を受けた」
「巨人時代の内海哲也投手のカーブは曲がってから速く、日本ハム時代の有原航平投手の真っすぐは切れがすごかった。入団1年目か2年目に見た日本ハムの大谷翔平選手は、軽く投げてもすごい球を放っていた」

―引退を決意した経緯は。
「5年目のオフシーズンに引退を少し覚悟した。6年目は1、2軍を行き来して、最後に2軍に落ちてからは試合に使ってもらえないようになり、厳しいかなと思った。昨年9月ごろだったか、『もういいや』と開き直った部分もあった」
「実際に戦力外通告を受けたときは冷静でいられた。トライアウトは精神的に疲れ切っていて受ける気は全くなかった。野球は嫌いにはならなかったが、楽しくはなかった」

―現役時代の一番の思い出は。
「2019年、初めて1軍で出場し、横浜スタジアムの打席に立てたことだ。思ったより緊張しなかった。結果は三振だったが、そのときは楽しかった。翌年、東京ドームで初安打を打ったことも思い出になっている」

―高校の後輩でベイスターズ新人の牧秀悟選手が活躍している。
「一緒にプレーできなかったのが唯一の心残りだ。今の活躍に対し、悔しさがないと言ったらうそになるが、純粋にすごいなと思う。将来、ベイスターズを引っ張っていく選手になってほしい」

―今後の抱負は。
「子どもたちに野球を教えるのは、やりがいを感じているが、これまで感覚で野球をやってきたので、それを分かりやすい言葉で伝えるのは難しい。高校野球の監督などにも興味はあるが、今は与えられた仕事を精いっぱい頑張る」

【プロフィル】ももせ・ひろき 松本市開智小4年時に軟式野球の「蟻西ファイターズ」に入団。旭町中学から松本第一高へ進み、3年時の夏の県大会で8強入りした。昨年11月に横浜DeNAベイスターズから戦力外通告。今年1月から野球振興・スクール事業部に所属し、同部が運営する野球教室で教えている。