梯剛之さん演奏会に市民合唱団出演

盲目のピアニストとして知られる梯剛之(かけはしたけし)さんの演奏会で、大北・安曇野地域などの合唱団員らが県歌「信濃の国」と、ベートーベンの「自然における神の栄光」を披露する。
昨年9月、大町市文化会館で開く予定だった梯さんの「ピアノコンチェルトin北アルプス」がコロナ禍で1年延期に。今年は9月4日に同会館で予定する演奏会に向け、10日から練習が始まった。
合唱は地元合唱団に公募も加えた150人規模を予定する。感染防止対策をとり、練習に臨む市民合唱団の面々。歌ったり発表したりする機会が大きく減った中での練習に、マスク越しの表情から充実感がのぞいた。
「自然における神の栄光」は、原語のドイツ語で合唱。一緒に歌う仲間を募っている。

「大勢で歌うと気持ちがいい」

大町市文化会館で10日に開いた初回合同練習と結団式。全日本合唱連盟のガイドラインに沿い、発声方向の前後間隔を十分に空け、排気設備を動かすなどの対策をとる中、約90人が舞台上での練習に臨んだ。
演目の一つ、ベートーベン作曲の「自然における神の栄光」。指導に当たる県合唱連盟理事長の中村雅夫さん(61、松川村)は、ドイツ語の発音のこつや意味を解説し、「最初だから呪文を覚えるようなものだと思って」などと緊張を和ませつつ、伸びやかな歌声を引き出した。
合唱団には「コロナ禍の苦難を乗り越え、新しい希望と勇気と力を込めた歌声をみなさんに届けていただきたい」と、梯剛之さんのメッセージ動画も届いた。
「大勢で歌うのはやっぱり気持ちがいい」と、声を弾ませた大町市の原山和可子さん(44)は、2019年11月に東京から移住。東京ではゴスペルグループに参加し、大町でも歌う場や機会を求めて応募した。「本番が楽しみ。仲間もできたらうれしい」と笑顔を見せる。
「梯剛之ピアノコンチェルトin北アルプス」は、昨年のベートーベン生誕250年を記念して企画された。演目はピアノ協奏曲第5番「皇帝」など。
演奏会に合わせて結成した「ベートーヴェン生誕250周年記念合唱団(仮称)」は、大町、安曇野市、松川村の3会場で「エリア練習」をし、7、8月には同会館で合同練習も予定。感染防止対策を取った上で、実行委事務局は体調不良時は無理をしないよう呼び掛ける。

未経験者も可 メンバー募る

梯さんは、生後1カ月で小児がんにより失明。小学校卒業後にウィーンへ渡り、数々の国際コンクールで好成績を残した。小澤征爾さんら世界的な指揮者や各国のオーケストラとも共演。子どもたちへのクラシック音楽普及にも取り組む。
演奏会はここ数年、安曇野、大北で開かれた梯さんの演奏会や、クラシック音楽の普及活動に多くの住民が感動、共鳴し、同会館と実行委員会が企画した。
実行委員で早春賦愛唱会代表の西山紀子さん(安曇野市)によると、梯さんは安曇野を訪れて「ウィーンで受ける風と同じ」と感想を語り、信濃の国の歌詞「木曽の桟(かけはし)」を聞いて「僕がいた」と喜ぶなど、この地域を親しみ深く感じているという。実行委員長の相模一男さん(87、大町市)は「合唱団には心を込めて練習してもらいうれしい。今年こそは実現したい」と話す。
合唱への参加は年齢、経験など不問。練習費は全日程で1000円。申し込み、問い合わせは同文化会館TEL0261・22・9988