今年は松本平とは思えないほど桜も早く咲き、新年度が始まりました。自閉タイプのお子さんの中には、年度替わりの環境の変化にとても緊張して、疲れてしまうお子さんも少なくありません。
年度始まりは誰でもどきどきするものではありますが、人によっては新しいクラスに慣れるのに半年以上もかかるという子どももいるのです。
▽教室が替わる場所というものは、自閉タイプのお子さんには行動や気持ちの心構えと連動するので、生活の場所が変わるだけで落ち着かないものです。
▽担任が替わる特に小学校は担任に日中の全てを委ねられているといっても過言ではありません。人が替われば、声のトーンも、指示の出され方も、日常生活において注意されるか、されないかのルールの線引きも、授業のやり方も、宿題の量、内容も、全てが変わってしまうのです。
定型のお子さんなら、「今度の先生はこういうやり方なんだな」と、直感で感じ取ってそれなりにうまくやれるかもしれません。でも多くの自閉タイプのお子さんは、担任が替わると、大混乱に陥りやすいのです。
▽クラスメートが替わる自閉タイプのお子さんの中には、顔と名前を覚えるのにとても時間がかかったり、相手の人となりを見分けるのに苦労したり(苦労はしていないけど見分けないままだったり)、慣れない相手とのスムーズなコミュニケーションが取りにくかったりと、クラス替えは疲れるものです。
新年度、よく分からない環境下で気を張ったせいで、帰宅すると疲弊しているかもしれません。家に帰ってから、いつもできていたことができなかったり、感情の起伏が激しくなったりということがあっても、学校で慣れるのに頑張って疲れたのかなと、ハードルを下げて見守ってあげてください。
【なないろキッズ】 #57 環境の変化で増える疲労
- 2021/04/20
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ