【野遊びのススメ】#2 誰でも作れる「ロケットストーブ」

バーベキューや薫製も

手作りできるストーブがあるという。「ロケットストーブ」。構造はいたって簡単、誰でも作れるという。焼き網を載せればバーベキュー台になり、野外で薫製作りに使う人も。かさばるが、キャンプ場に持って行ければ重宝する。市民団体「自然エネルギーネット(エネット)まつもと」監事の渡辺勉さん(58、松本市)が開いた講習会に参加し、一つ作ってみた。

火力自在で高性能災害時の役にも

まず見本となる完成品とご対面。油などを入れるペール缶を重ねた円柱というのが基本形だ。中心を煙突のパイプが貫いていて、円柱の頭と横っちょから飛び出している。
これでどうして、ものが燃えるのか。
ポイントは、煙突の周りを断熱材で埋めていること。煙突の中でものを燃やすと、熱は外に逃げず、上にのぼるだけ。効率のいい上昇気流ができる。暖まるにつれて煙突はぐいぐい空気を引き込み、中のものはどんどん燃える(煙突効果)というわけだ。
この日は、渡辺さんがペール缶と煙突など材料一切を準備してくれた。ペール缶は廃棄物を譲り受け、ほかの材料費は計4000円足らずという。
渡辺さんの指導の下、作業が始まった。2つのペール缶をつなぎ、煙突穴をあける。金切りはさみでアルミ板を切る。歯切れのいい感覚が、小気味いい。穴にパイプを通し、缶の隙間に断熱材のパーライトを流し込む。基本的な流れは以上だ。
使い方は「ストーブというより高性能コンロ」と渡辺さん。五徳を置けば、鍋や釜を温められる。やかんならものの数分でお湯が沸く。「高性能」のゆえんだ。災害時にも役に立つ。
料理に便利とはいえ、そこはストーブ。火そのものを楽しめるのも魅力だ。燃焼効率がいいので、小さな枝がたちまち赤い火の塊になり、しっかり燃えて、白い灰になる。火の一生を比較的短い時間で観察できる。
火を大きくすることも自在。大きな薪でもすぐに火が付く。火力が強くなると、ゴーと音を響かせながら、煙突から火が噴き出す。聞けば、この様子から「ロケット」と呼ばれるという。確かに、逆さまの小型ロケットを見るようだ。
今回は1時間ほどで作れたが、これは渡辺さんたちのマニュアルがあり、手ずから教えてくれたから。道具も貸してくれた。どうしてそこまで?「自然にあるもので火をたき、楽しむ経験が、自然エネルギーの普及につながるから」。エネットまつもとの理念に沿った、これもシンプルな理由だった。
作り方は、エネットまつもとのサイト=QRコード(http://www.enet-matsumoto.net)=で。講習会の要望も受け付ける。