涸沢ヒュッテ目覚めの時

春山シーズン間近小屋開け作業本格化

春山シーズンが間近に迫った北アルプス穂高連峰涸沢カール。標高2300メートルの涸沢ヒュッテは、15日に先発隊(14人)、16日には本隊(12人)が上高地からヘリコプターで入山し、小屋開け作業が本格的に始まった。初日は晴れ渡ったが徐々に天気が崩れ、18日には吹雪となり波乱の幕開けに。ヒュッテの目覚めの様子をカメラで追った。

青空→猛吹雪 準備は順調

昨年に続き、新型コロナウイルス感染が広がる中で迎えた小屋開け作業。今年は先発・本隊全員が抗体検査をして入山した。
15日午前8時50分、先発隊の2番機でヒュッテに到着。本館や新館の赤い屋根の大部分が見えている。「この春の雪解けは異常に早く、約半世紀見てきたが記憶にない」と山口孝社長(73)。雪崩が集まるヒュッテ周辺は例年5~6メートルの雪があるが、今春は2メートル。穂高連峰は春陽に包まれ、5月中旬並みの山容だ。
午前9時50分、先発全員が到着した。新館の「ユキザサ」と呼ぶ2階客室の小さな窓から館内に入り、厨房(ちゅうぼう)や大食堂、客室などを小型ライトで照らしながら点検。例年見られるような厳寒に耐え抜いた冷凍庫さながらの光景は見られなかった。
午前10時15分、3台の小型除雪機が空輸され、涸沢カールにエンジン音が響いた。先発隊の重要作業は玄関と発電室の掘り出し。柔らかい雪に除雪機がはまり、30度ほど傾いて動けなくなった。
午前10時28分、急ピッチで発電室を掘り出し、半年ぶりに館内に明かりがついた。ヒュッテの小屋開けでは記録的な早さだ。
16日午前8時50分、本隊がヘリコプターで次々と入山。5人の女性従業員らによる検温や消毒液などコロナ対応した館内の準備作業も本格化した。冷食や生鮮食料品など物資約2トンが空輸で届いた。
午後1時半から男性従業員総出でヒュッテの水槽と北穂沢の水源を結ぶパイプを設置。生活用水を確保した。
17日未明からの降雪は次第に激しさを増した。氷点下8度となった18日は終日強風が吹き荒れ猛吹雪。渦を巻いて舞い上がる雪煙で3メートル先が見えなくなることも。19日朝まで降り続いた新雪は1メートルを越え、穂高連峰は白無垢(しろむく)をまとった真冬の山容に戻った。
「厳しい気象条件と闘いながらも除雪作業は順調です」と山口社長。27日の上高地開山祭から、宿泊定員の半数にしたコロナ対応の営業が始まる。
(丸山祥司)