ファンらの熱意で車両保存「トロバス記念館」

立山黒部アルペンルート運行終え残った“奇跡の1台”

2018年まで立山黒部アルペンルートの扇沢駅─黒部ダム駅間を走った「関電トンネルトロリーバス」の車両などを展示する、大町市平の扇沢総合案内センター内の「トロバス記念館」。ファンらの熱意で保存に至った“奇跡の1台”を、保存活動のキーパーソンが感慨深く車両を眺めた。
架線から電力を得て走るトロバス。法的には鉄道に分類される。「変な乗り物、これに尽きますね」。本開館初日の15日、展示車両の前でしみじみと魅力を語るのは富山県高岡市のトロバスファン、善光(ぜんこう)孝さん(58)だ。
運行を終えた車両15台は高岡市の解体業者に運ばれた。大町市は地元につながりの深い車両の保存を検討したものの、費用や設置場所などの面から断念。しかし19年6月、市職員は驚きの情報を耳にする。解体されたと思われていた車両がまだ1台残っていた。
業者の近くに住む善光さんは「産業遺産ともいえる貴重な車両を何とか残せないか」と業者に解体延期を願い出ており、熱意をくんだ業者が最後の1台を解体せずにいた。この間、善光さんは全国の鉄道、交通博物館などに交渉するも保存先は見つからなかった。
そこで大町市は保存を再度検討。保存のニーズの判断も併せてクラウドファンディング(CF)で費用を募ることに。開始わずか3日で目標額の180万円が、最終的には全国485人から計646万円余が寄せられ、保存が決定。昨秋、扇沢に里帰りした。
オープン以来、記念館にはCFに協力した人らが訪れ「帰ってこられてよかった」「これからも愛される車両でありますように」などと館内のノートにメッセージを書き残している。善光さんは多くの支援に感謝し、「(展示車両を)観光や地域おこし、教材などに活用してもらいたい」と願っている。
記念館は午前9時~午後4時、無休で11月末まで。市観光課TEL0261・23・4081