夢の〝天ぷら名人〟へ 「天麩羅 千の音」藤原卓矢さん

松本市大手4に中信地区では数少ない天ぷらの専門店「天麩羅(てんぷら) 千の音」がオープンした。オーナーは藤原卓矢さん(29、同市大村)。都内の有名店を食べ歩き、油のはねる音を介して職人と客の間に漂う緊張感に魅了され天ぷらの道に。約10年間の修業を経て、故郷に自分の城を構えた。
オープンを翌日に控えた6日、藤原さんはサイマキエビを揚げて状態を確認していた。当日朝に東京・豊洲市場で仕入れたばかり。薄い衣をまとって、からっと揚がったエビを見てうなずいた。
高校時代に和食の職人を志した藤原さん。それ以来、アルバイトでお金をためては、都内に出掛け、天ぷら、すし、そば店などを巡って食べ歩いた。
夜のコースが数万円もする高級店もためらうことなく1人で飛び込み、その店の味を確かめた。高校生だったため、店の人から「間違ってここに来てしまったんだね」と、迷子扱いされることもあったという。
そうした中、藤原さんの心をつかんだのが天ぷらだった。「パチパチ」「ジュージュー」と、変化する油のはねる音を聞き分け、食材を最高の状態に仕上げる職人。その天ぷらを待つ客との間に生まれる独特の空気がたまらなくなった。
高校卒業後、松本調理師製菓師専門学校に1年間通い、20歳で都内の天ぷら店に入店。店の仕事をこなしつつ、「早く一人前になりたい」と自分で魚を買い、さばき、揚げた。こうしたやり方を快く思わない先輩らから嫌がらせも受けたというが、それでもめげず、25歳の時には米国大使館の招待客に振る舞う天ぷらを任されるまでに腕前を上げた。
高校時代に食べた有名店の天ぷらと、今、自分が揚げている天ぷらを比べても「負けずに食らい付いていると思う」と藤原さん。「この店を専門店として定着させ、将来は『天ぷら名人』と呼ばれたい」。率直に目標を語った。TEL0263 ・ 32・2877