【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#4「農業3.0!」で行こう

あれ?まだ田植えしないの?そう言われることがあります。土壌に必要な三大栄養素の一つ、窒素を増やす効果があるレンゲをすき込んでから田起こしするので、少し遅れるのです。
1万年前から農耕を始めたとされる人類。水と大地と太陽に加え、収穫後の田でレンゲを育て、春にすき込んでから田植えをするといったような「工夫」で作物を作ってきました。これを「農業1.0」としましょう。
20世紀初頭、ハーバー博士とボッシュ博士が発明した「空中窒素固定法」で、肥料として効果の高い窒素が手軽に手に入るようになってから効率的な農業が実現しました。「農業2.0」です。人類が化学肥料を手にして、たった100年で農業は大きく変わりました。この方法は世界から飢えと貧困をなくす切り札として期待されましたが、現状はご存知のとおり。
私は「農業3.0!」で行こうと思っています。「農業1.0」の「工夫」や言い伝えの正しさが最新の技術で証明されつつあります。田植え前にレンゲをすき込むと甘いお米になる―と言い伝えられてきました。近年の研究では、マメ科は根粒菌に窒素を固定することが分かっています。
言い伝えが科学的にも裏打ちされ、機械の力を使うことで伝統と効率を両立できる。それが「農業3.0!」。温故知新で行きましょう!誰でも(小太郎でも…)お金がなくても「工夫」次第でできる農業ならば、飢えと貧困はなくせるはずです。〈隔週掲載〉