【なないろキッズ】 #58 好奇心は強みになる

ADHD(注意欠如・多動症)の特性のある人は、好奇心旺盛でいろんなものに興味が湧き、面白そうだと思うとすぐに「やってみたい!」と、なるものの、取り組んでみてどんなものかがだいたい分かるころには、もう飽きてしまって次に興味が移ってしまうことを繰り返すことが多いです。
周りからは「飽きっぽい」「何をやっても続かない」とあきれられます。習い事など、せっかく始めてもものになる前にやめてしまったり、やってみたいというのでいろいろ道具を買いそろえても、すぐに使わなくなったり。
こうしたことが重なり、「どうせ続かないのだから」と、お金がかかることはやらせてもらえなくなってしまうという話をよく聞きます。親御さんは「何一つ続けられないのでは将来困る」と、やきもきしがちです。
あるADHDタイプのAさんは、社会人になっても仕事が続かず頻繁に転職し、住む場所も転々としています。仕事は最長5年、最短1日。業種もさまざまで、起業をしたこともあったけど経営が軌道に乗ったころには飽きてやめてしまったとか。
そんなAさんに20年ぶりにお会いしたら、50代になった現在は転職コンサルタントとしてご活躍とのこと。Aさんいわく「50ぐらいの仕事を経験したので、その業種に必要な資質、向いていない特性など手に取るように分かるんです。いろんな業界に顔も広くなり、今の仕事に生かされています」と笑っています。
「飽きっぽい」は、「いろんなことを見聞きしてさまざまな経験ができるという強みでもあるんだなあ」と、しみじみ思いました。
好奇心は強みです。興味が移り変わっても、その過程でたまたま「どはまり」するものに出合えることもあるでしょう。好奇心を封じ込めず、お金と時間が許せる範囲で、いろいろ経験していけることを見守ってもらえればと思います。