正真院住職東俊介さん 平日夕方は親子の時間

安曇野市穂高有明の正真院の住職、東俊介さん(47)は、小学6年生と4年生の娘を持つお父さんです。僧侶の仕事は、子どもが休みの土日曜・祝日に四十九日や年忌法要などが多く、平日も急に連絡が入って読経のために出向くことが度々あります。そのような日々の中、どのように子どもと関わっているのか話を聞きました。
★仕事
父が住職を務める寺の長男として生まれた東さん。子どもの頃から漠然と「いずれ跡を継ぐのかな」と思っていましたが、両親から跡を継げと言われたことはなく、修行のような経験もありません。「うちのお父さんは、みんなのお父さんと違う」くらいの意識で、中学2年生の時に僧侶になるための儀式「得度(とくど)式」を終えても生活は変わりませんでした。
しかし、高校卒業後は駒澤大学仏教学部に進みます。「お寺は檀家(だんか)さんのもの。長男として父の跡を継ぐ責任感が大きかったからです」
同学部は9割が男性で、大多数が僧侶を目指していました。「座禅の授業や仏教の歴史などさまざまなことを学び、とても新鮮でした。とはいえ髪は伸ばし、食事も制限などせず普通の学生でした」
★修行時代
大学卒業後は、父親も修行した曹洞宗大本山の一つ、永平寺(福井県)で2年半修行します。夏の起床時間は午前3時半。当番の日はさらに早くなります。最初は精進料理になじめず、「おなかがすいてげっそり。頭がボーっとして足もしびれてきました」
寺を訪れる観光客らの受け付け・案内、厨房(ちゅうぼう)仕事といったお勤めもしました。「仕事は本当にたくさんあり、一通り覚えるまで勉強しようと取り組み、いろいろな経験を積むことができました。同年代で同じ道を目指している仲間がいたので、つらいこともあったけれど楽しいことも多かったです」
★子どもとの時間
帰郷後は正真院の副住職となり、35歳のときに小百合さんと結婚。結衣さん(11)、愛衣さん(9)を授かりました。
「自分の子ども時代と同じように家族旅行のようなことは難しい」状況は変わりませんが、その分、小百合さんが子どもたちを連れて出掛けています。「私はそういうのが苦じゃないんです。家族みんなで遠出はできませんが、平日夕方に一緒にテレビを見たりゲームをしたりと、夫はできる限り子どもたちに付き合ってくれています」と小百合さん。
一昨年、父親が引退し、東さんが住職になりました。その就任をお披露目する晋山(しんざん)式で、結衣さんが弁事(べんじ)を務めました。弁事は、新住職に仏道の真意などを問う「問答」を行う大切な役。「女の子がやるのは珍しいし、恥ずかしがる年頃なので無理強いするつもりはありませんでしたが、話をしたら『やりたい』と言ってくれてとてもうれしかったです」
「お坊さんはもちろん職業ですが、自分の中での位置付けが難しい。生き方なのかなとも思います。でも、住職になった時に迷いがなくなり、この道に進んで良かったと思っています」