県記録引っ提げ全国へ

やり投げ松本国際高陸上部3年の小平さん

スピードを増した助走から渾身(こんしん)の力で解き放たれたやりは、大きな放物線を描いてフィールドに刺さった。
今月、松本市で開かれた中信地区陸上競技選手権大会の男子やり投げ。第1投目で県高校記録の63メートル41で優勝した松本国際高校陸上部3年の小平将斗さん(17)は「投げた瞬間、手応えを感じた」と振り返った。
自身が生まれるずっと前の1989年に記録された62メートル58を83センチ上回る会心の一投。32年ぶりの新記録で2位を10メートル以上引き離し圧倒的な勝利を収めた。
本年度の全国高校ランキング3位に浮上。インターハイ(全国高校総体)優勝も夢ではなくなった。6月には大阪市で開くU20(20歳以下)日本選手権にも出場する。けがやスランプを乗り越え、県記録の保持者として高校最後の夏に挑む。

小学3年生から陸上競技を開始

小平将斗さんが陸上競技を始めたのは小学3年生。元々、地元の茅野市の軟式野球クラブの投手として活躍していたが、足が速く強肩だったことから、学校の先生に「陸上をやってみないか」と勧められたのがきっかけだった。
中学校で短距離の選手から投てきに転向。中3で初出場したジュニア五輪のジャベリックスロー(やり投げの小中学生版種目)では全国4位になった。この時、僅差で表彰台に立てなかった悔しさ。「今も忘れられない」といい、その時の感情が全国の頂点を目指して競技に励む原点となっている。
高校は、実家から電車で通えて練習環境も整った松本国際高を選んだ。しかし、やり投げ専門のコーチがいなかったため、ネットの動画投稿サイトなどを見て独学で練習を積んできた。
100メートルを11秒台で走る。インターハイ予選を兼ねた中信高校総体(14~16日・信州スカイパーク陸上競技場)では、やり投げで大会記録の61メートル3を記録したほか、400メートルリレーのアンカーとしても出場、チームの県大会出場に貢献した。

焦りで練習過多スランプも経験

やり投げで注目されたのは昨秋の県高校新人大会。20年ぶりとなる大会新記録62メートル6を出し、トップ選手に名乗り出た。しかし、その後の公式戦では、いずれも記録が伸びずに自己嫌悪。焦りから練習過多となり、肉離れや腰痛にもなり、スランプに陥っていた。
転機となったのは、今年3月に参加した4泊5日の全国高校陸上強化合宿だった。全国トップクラスの指導者らから、やりの持ち方やひじの角度、力の使い方などを理論的に学んだ。全国のライバルたちとも肩を並べて練習することで「大きな刺激を受けた」。
課題だった下半身強化にも取り組み、合宿で学んだ成果をトレーニングに生かした。これが、5月の県高校新記録の誕生や飛躍につながったという。
同高陸上部を指導する下里直弥顧問は「県高校記録を出してから顔つきが変わった。フォームも良くなり、いい方向に動いている。あとはけがなく自信を持って大会に臨んでほしい。まだまだ記録は伸びるはず」とエールを送る。
スランプで悩んでいた時、「仲間が励ましてくれたことが心の支えになった」と小平さん。「高校生活の集大成として、全力を尽くし、結果を出すことでみんなに恩返しをしたい」。今夏からの全国大会に向けて、力強く語った。