松本の伊藤さん自作ミニチュアギターで世界的スターと縁

チープ・トリックのギタリスト愛用ギター忠実に再現

えんじ色のボディーのギターを抱え、それとそっくりな約7センチのミニチュアギターを指さす、ちょっとファンキーなおじいちゃん。1980年代に青春時代を過ごしたロック好きなら誰だか分かる!?
リック・ニールセンさん(72)。米国のロックバンド「チープ・トリック」のギタリストだ。日本でも爆発的な人気になり、2016年にはロックの殿堂入りを果たした。
その彼がご満悦な表情を見せているミニチュアギターは、松本市惣社の会社員、伊藤正さん(57)が作った。伊藤さんの作品をインスタグラムで知ったニールセンさんの友人が「本人にプレゼントしたい」と、伊藤さんに製作を依頼した。
若い時に大ファンだったチープ・トリックのギタリストと、自分が作ったミニチュアギターが、時を経てつながった。

ニールセンさん友人からの依頼

4月、伊藤正さんの元にマイケルと名乗る米国人から1通のメールが届いた。「私はリック・ニールセンの友達で、リックへのクリスマスプレゼントとしてあなたが作っているミニチュアギターを贈りたい。リックが持っているギターのミニチュアを作ってもらえないか」
驚きとともに、多少の疑いも抱いた伊藤さん。メールの信ぴょう性を確かめるため、マイケルさんのサイトを調べると、ニールセンさんをはじめ、チープ・トリックの他のメンバーと一緒に写っている写真が並んでいた。
「間違いない」。確信した伊藤さんはすぐに「喜んで作らせてもらう」というメールを返信。後日、ミニチュアのモデルとなるギターを持ったニールセンさんの写真が届いた。

チープ・トリックとの出会いは、伊藤さんが洋楽に目覚めた中学生の時。洋楽のLP盤は中学生にとって高価だったが、意を決して買った中の1枚が、チープ・トリックのサードアルバムだった。
「ギター少年」でもあった伊藤さん。9年ほど前から、ギター製造の際に出る端材を使ってストラップなどのアクセサリー作りを始めた。そのうちに複雑な形も作れるようになり、最終的に有名ミュージシャンが愛用しているギターを忠実に再現したミニチュア作りにたどり着いた。

製作工程や作品インスタで反響

製作の工程や作品の写真をインスタグラムにアップ。すると、国内外のアーティストから「いいね」の声が寄せられた。実際に作品を本人に渡したこともある。
そんな中で寄せられたニールセンさんのミニチュアギターの製作依頼。約2週間かけて5本作り、米国に送った。マイケルさんからの代金支払いの申し出を固辞し、その代わり「半分冗談で」(伊藤さん)自分の持っているアルバムに「サインをしてほしい」とねだってみた。
すると、伊藤さんがアルバムを送る前に、サイン入りのサードアルバムと、同じくサインが入ったファーストアルバム、ギターピック3個が「あなたの仕事に感銘を受けた」というニールセンさんからのメッセージとともに届いた。
「自分の作った『ギター』を介して世界のミュージシャンとつながることができた」。伊藤さんの小細工(チープトリック)が大物の心を揺さぶった。