むかし乙女たち詐欺予防に奮闘

塩尻・朝日防犯協「劇団げんばの嬢」

「むかし乙女、いま熟女の『劇団げんばの嬢』です!」
塩尻・朝日防犯協会連合会の防犯女性部でつくる「劇団げんばの嬢」が、詐欺に注意を呼び掛ける寸劇と街頭啓発のボランティアを始めて8年になる。
塩尻市に伝わるいたずら好きなキツネ「玄蕃之丞(げんばのじょう)」の伝説をもじった劇団は、市内6地区の50~80代の6人でつくる。塩尻署員が考えた台本に、面白く親しみやすく味付けして演じる。公演後はすぐに改善点を話し合う。向上心の塊だ。
街頭啓発活動では注意喚起のビラに、クラフトバンドで作った手作り品も添えて配る。「目に見える実績も功績もないけれど、寸劇や配り物を通して詐欺に遭う人が一人もいなくなるように」。むかし乙女たちの願いと活動は続く。

明るく生き生きボランティア

「劇団げんばの嬢」は、塩尻署から防犯活動をする女性部を作ってほしいと依頼を受けた塩尻・朝日防犯協会連合会防犯女性部長の角田みやこさん(77、塩尻市宗賀)が友人たちに声を掛け、2014年に結成した。
加わるのは、田中紀和子さん(81、大門)、西澤愛子さん(78、広丘郷原)、小澤なつ子さん(67、片丘)、古田京子さん(66、洗馬)、田鹿なつみさん(56、木曽平沢)。コロナ禍の昨年度も20回近く公演した。
今月21日には、桔梗ケ原公民館で地域の高齢者に寸劇を披露。夫と息子夫婦、孫と暮らす女性が、警察官を名乗る男からの電話を受け、訪ねてきた偽警官に銀行口座のキャッシュカードを渡してしまうストーリーだ。

親しみやすく面白く味付け

テンポよく進み、だまされる女性の動揺が伝わってくるような演技に客席は引き込まれた。女性が印鑑をキンカンやカンカン(缶)と間違え、偽警官と息の合った「のりつっこみ」をする場面は大うけ。キャッシュカードを手に入れた悪役が「兄貴、うまくいきやしたぜ」とアジトに帰ると、「よくやった。一杯飲みに行くか。密にならないようにな」とアドリブも。
寸劇後は控室で片付けをしながら「偽警察官の名札は背中じゃなくて前につけた方が見やすいね」「〇〇銀行じゃなくて桔梗ケ原銀行とか具体的な名前の方がいいんじゃない」などと反省会。手作りの小道具や細かい表現の改善に余念がない。

熱心で積極的最高のチーム

年6回の年金支給日には街頭啓発活動も。注意喚起のビラに、クラフトバンドの講師でもある西澤さんにメンバーが教わった手作り品を添える。身近に置いて注意を忘れないようにと、ストラップやメモスタンドに「一人で悩まず相談しよう」といった標語を書いたカードも付けた。
「みんな熱心で積極的。最高のチーム」と角田さん。メンバーは「気心知れた仲間でできる一番楽しいボランティア。社会に貢献できているという充実感も原動力です」と口々に話す。防犯女性部と塩尻署を橋渡しする同連合会書記の小澤薫さん(45、片丘)は「明るく生き生きとした姿を見て、年を取るのが楽しみと思えるようになった」とも。
「じょうはじょうでも、お嬢様の『嬢』。声が掛かれば喜んで行きます!」。むかし乙女たちは元気いっぱいだ。