「映える」田舎暮らしを配信

夕日の光が部屋に入り込む夕暮れ時、和室で着物姿の男性が天ぷらを食べている。昔の日本にタイムスリップしたかのような光景はサイトに投稿された動画の一こまだ。
塩尻市贄川の菅沢誠士さん(29)。塩尻から木曽にかけての暮らしや自然、街の様子を動画で撮影、ネットで発信している。
昨年9月、街並みや風景、人柄、地域と深く関わるシェアハウス「宿場noie坂勘(さかかん)」にほれ込み、千葉県松戸市から移住してきた。3日に2日は着物姿で活動、着物は4着持っている。「この地域と着物との相性がいいんです」。撮影しない日も着物姿で街を歩く。
「田舎での暮らしは映(ば)える」と菅沢さん。日々の動画の題材はそのまま、自身のライフスタイルでもある。

地元の魅力世界へ届けて

年末年始の大掃除、餅つき大会をシェアハウスメンバーや地域の人々と楽しむ、紅葉を眺めながら飲む日本酒、手巻きずしやおでんを作る、畑から取ってきた野菜で漬物を漬ける…。菅沢誠士さんがこれまでにYouTubeに投稿した「田舎暮らし」の場面だ。
納豆や卵かけご飯を食べるシーンは海外では特に珍しがられ、一番反響が大きかったという。こだわりの食器や撮る角度、酒をついだり、包丁で野菜を切ったりする音も重視する。
菅沢さんの「田舎暮らし」の拠点は、塩尻市贄川にあるシェアハウス「坂勘」。塩尻から木曽にかけての地域は「時間の流れがゆっくりで空気がきれい」といい、首都圏近郊で育った自分にとっては「まるで海外にいるかのように新しいものが見える」と話す。

菅沢さんは学生時代、留学やハンセン病支援のボランティアで20回ほど中国の広東省を訪れ、多くの学生と交流。これまでに20カ国以上の国を旅してきた。その経験から「日本と中国の懸け橋になりたい」との願いや、日本の暮らしや風景をもっと外国の人々に知ってほしいとの思いを強くした。
中国では政府によりSNSが厳しく統制されており、日本のように自由にYouTubeを視聴できない。そのため、中国向けには合わせて15万人の登録者がいるという現地の動画共有サイト「ビリビリ」「小紅書(RED)」を通じて配信。菅沢さんの動画を見た中国人から、「日本の田舎に行きたくなった」「いつも癒やされている」といったコメントが寄せられている。
「今後は地元の伝統工芸品などもどんどん投稿していきたい」と菅沢さん。海外向けに販売したい企業と協力したり、「アフターコロナ」を見据えてインバウンドを期待している観光地や観光業者などと連携したりして、塩尻・木曽の魅力を世界に発信しながらビジネス展開にも結びつけていきたい考えだ。
YouTubeの動画は「Masa in Japan」で検索。