動画で発信「TJ養蜂記」 松本で蜂蜜を作る辻本さん

生態に魅了 ノウハウ独学で

「蜜蜂って、しましまでフワフワで猫みたい。かわいいでしょ」。蜂をいとおしみ、その労力をいたわるかのように蜂蜜を頂戴しているのは、松本市の辻本淳也さん(45、浅間温泉3)。
翻訳業の傍ら、独学で養蜂を始めて5年目になる。その模様を動画配信サイトYouTubeで公開、動画は100本近くに上る。
小さい頃からの昆虫好きもあってニホンミツバチに興味を持ち、そこから広く養蜂されているセイヨウミツバチの世界にどっぷりとはまった。養蜂の知識は全て海外の動画から学び、試行錯誤しながら自分なりのスタイルを探っている。
動画のチャンネル名は、愛読書「ファーブル昆虫記」になぞらえて「TJ養蜂記」。失敗体験も含めた自身の養蜂物語を、松本から世界に発信している。

早朝から昼まで1人で採蜜作業

6月初旬、緑まぶしい松本市の美鈴湖に近い山中。辻本淳也さんが今年初の採蜜作業に汗を流していた。
辻本さんの養蜂場では6つの巣箱に約20万匹を飼っている。蜜で満タンとなった重さ4キロほどの長方形の蜜枠を次々と取り出し、裏表をそれぞれ遠心分離機にかけると、薄い黄金色の目にも美しい蜂蜜が流れ出した。それをスプーンでひとすくい。「うまい!コクがある。去年より色も濃い目かなー」
この時季の蜜は百花蜜と呼ばれ、春のさまざまな花の蜜が混じり合う。この日は朝5時半から4箱分、50キロほどを1人で採取。作業は昼すぎまで及んだ。

失敗や成功体験 ありのまま発信

辻本さんは名古屋市出身。亡くなった母親のお墓がある浅間温泉に7年前、引っ越してきた。翻訳をなりわいとしていたが、「都会にはないこの環境で何かしたい」と興味があった蜂の飼育に注目。最初は野生のニホンミツバチを仲間と採取して飼育するつもりが、捕獲できたのはセイヨウミツバチ。飼育するうちに蜂の神秘的な生態に魅了された。
ノウハウは海外の養蜂家の動画を見て学んだ。そして記録的な意味合いに加え、ネットでは探せなかった情報も発信することで他の人の参考になれば-との思いから、自身の養蜂の様子を動画にアップするようになった。
養蜂で重要とされる「分蜂」やダニ、スズメバチへの対策、冬囲いせずに越冬させた様子など、失敗や成功体験もありのままにアップ。動画の視聴数は数千を超える回もあり、養蜂に興味を持つ若者からメッセージが届くことも。「人の役に立てていると思うと、励みになる」と辻本さん。
年に3回搾っている蜂蜜の瓶詰めやラベル貼りも、全て1人で担う。「生産者になって価値観が変わった。ものづくりの達成感が味わえるのがうれしい。蜂蜜を食べる際、そこに詰まった作り手の思いを感じてもらえたらうれしい」と話す。
製品は浅間温泉で直売したり、インスタグラムを通して販売したり。量に限りがあるため、販売先は「ご縁重視」。詳細はインスタグラムとYouTube(「TJ養蜂記」で検索)で。