多彩で緻密な模様 スウェーデン織作家の佐藤さん

カッタン、カッタン。大町市大町のスウェーデン織り作家、佐藤かれんさん(31)の工房から機織りの心地よい音が聞えてくる。
2018年のクラフトフェアまつもとで本格的に作家デビューし、今年1月に大町に工房を構えた。花や星など多彩で緻密な模様を美しく織り上げる。
2012年から3年間、スウェーデンにある手工芸学校で織りを学んだ。「留学した記念に」と受けた手織り工芸士の資格試験に見事合格。日本人では2人目という。
日本の夏は、木でできた大きな織り機が湿気を吸ってしまい、作業がしづらくなる。それもあって夏の間、織りから一時離れて大好きな北アルプスの山小屋で働く。山での時間が、織りへのさらなるエネルギーを与えてくれる。

冬が長く外が暗いスウェーデンでは、せめて家の中は明るくしたいと、カラフルな布やマットを家庭で織って部屋を装飾する。さまざまな技法を総称して「スウェーデン織り」と呼ぶ。
佐藤かれんさんは山梨県北杜市出身。服飾デザイナーだった母親が作る服を着ていた幼少から、もの作りが好きだった。中学高校で寮生活をしながら通った自由学園(東京都)の家庭科の授業は、ブラウスやコートなど自分が着る服を作るのが課題。さまざまな素材の布を扱っていく中で、布を織りたいと思うようになった。
タオルやストールなど作るものによって様々な技法で織るが、中でも佐藤さんは、スウェーデンの民俗資料館で見かけた南部の町に伝わる「アップヘムタ織り」に一目ぼれ。複雑な模様の分、とても根気のいる技法で織れる人が今では少ないという。小さめの織り機が手元にないため今は簡単な模様しかできないが、2年生の時と工芸士の試験で織った2つの大作は来年、スウェーデンで4年に1度行われる織りの見本市に展示される予定だ。

夏の間過ごす北アルプス。学校登山のつらい思い出しかなかったが、燕山荘でのアルバイトをきっかけに山の魅力に目覚めた。それ以降はほぼ毎夏、北アで働く。満天の星空、成長していくライチョウのひな…。地上では見られない移りゆく自然の景色が広がり、「織りのデザインを思い付くこともあります」。
織りが好き過ぎる佐藤さんは、工房にずっとこもって作業し続けてしまう。「強制的に」山にしばらく身を置くことで、織りへの新しい意欲が湧いてくるという。
この夏は7月から約1カ月間、裏銀座縦走コースにある野口五郎小屋に上がり、感性を磨きながら山暮らしを楽しむ。

【佐藤さんのスウェーデン織り展示会】
6月28日まで、生坂村北陸郷のギャラリーカフェ「工芸と喫茶ひとつ石」で。コースター、タオル、サマーケット、クッションなどを展示販売。営業は金~月曜午前11時~午後6時。