大桑村出身の藤懸騎手 初GⅠで「爪痕」

5月23日、東京競馬場で行われたGⅠ「第82回オークス(優駿牝馬)」。大外から差して3着となった「ハギノピリナ」の鞍上(あんじょう)で、大桑村出身の藤懸貴志さん(28)は誇らしげな表情を見せた。
出走18頭中、16番人気で馬券に絡んだ「8番」は競馬ファンを大いに沸かせた。3連単(1~3着を順番通りに当てる)で5300倍余の配当となった。
JRA(日本中央競馬会)から騎手デビューし11年目。巡ってきたGⅠ初騎乗の好機を生かした。今月20日のGⅢ「マーメイドS」(阪神競馬場)では、10番人気ながら堂々の重賞初勝利も飾った。
「今までは思い通りにいかないことが多かった」と藤懸さん。オークスで残した「爪痕」を今後の飛躍につなげる─。勝負師の目が光った。

調教に定評つかんだ大舞台

藤懸貴志さんに、オークス3着の感想や、騎手としての今後の抱負などを聞いた。

─オークス3着の感想は。
うれしさはあるが、あそこまでいったら勝ちたかったという悔しさの方が大きい。調教師の先生や厩舎(きゅうしゃ)の人たちからも16番人気の馬を3着に持っていき、「よく頑張った」と言われる一方で、「あそこまで差を詰めたら勝ちたかったね」とも。GⅠの反響はとにかく大きい。
─レースを振り返って。
序盤はスローペースだったが、3コーナー辺りで勝ち馬が仕掛け、ペースが上がった。これで長くいい脚を使えるハギノピリナに展開が向いた。スローのままで、最後に「よーいドン」の競馬になったら、3着に入れたか分からない。
─ハギノピリナの秋に向けての展望は。
調教師の先生から「秋もいくぞ」と言われているので、これからも騎乗するつもりでいる。秋の一番の目標は秋華賞(GⅠ)。今のままでは出走権がないので、権利を獲得できるよう、事前のレースをしっかりと頑張りたい。
─騎手デビュー11年目。これまでを振り返って。
成績が示すように、思い通りにはいっていない。逆に言えば、この成績でコンスタントに騎乗させてもらっているのは周りの人のおかげ。自分でも珍しい存在の騎手だと思っている。

目先のこと一生懸命に

─馬の調教の評価が高い。
とにかく調教には多く乗せてもらっている。厩舎サイドの人たちの意向を自分なりに理解して、1頭1頭、丁寧に調教することを心掛けている。
─2年前から厩舎に所属しないフリーの騎手になった。
何かを変えなければと思ってフリーになった。固定給はなくなったが、自分が騎乗する馬の調教に専念しやすくなったのは大きなメリットだ。
─同じ木曽郡出身で同学年の御嶽海関は意識しているか。
全国区で活躍し、ポスターなどにも登場していて素直に「すごいな」と思う。同じ勝負の世界にいる者として関取の活躍は刺激になる。
─今後の騎手人生についてどう考えている。
火~金曜が調教で、週末はレースという生活をしていると、1年はあっという間に過ぎる。先のことはあまり考えず、目先のことを一生懸命にやりたい。自分で限界を感じたときに、次のことを考えればいい。
─県内の競馬ファンに一言。
長野県は競馬をやる人は少ないと思うが、木曽出身の騎手がいることを知ってもらい、注目してもらえれば。そして、それに恥じない成績を残したい。