“サラリーマンライダー”竹下さん  鈴鹿のレースで初優勝

雨の中、圧巻の走り

自分の限界に挑戦したい―。塩尻市洗馬の竹下信矢さん(27)は、松本市内のオートバイ専門店で働きながら、休日にレースに参戦する“サラリーマンライダー”だ。聖地の鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開かれる、国内トップや世界への登竜門とされるレースでこのほど初優勝。給料のほとんどをバイクとレースにつぎ込み、整備も自分でする苦労が報われた。
新人から国際ライセンスを持つベテランライダーまでが、3~12月に全5戦で争う「鈴鹿サンデーロードレース」の第2戦(5月15、16日)。ST600R(600cc旧モデル車、車体改造制限あり)クラスに参戦する竹下さんは、初日の予選で4位に付けた。
2日目の決勝(出場28台)は、雨で路面が滑りやすい悪条件。竹下さんはスタートで出遅れたポールポジションの選手らをかわして一気に先頭へ。後続グループを引き離し、1周5.8キロのコースを8周(通常は10周=雨で短縮)して2位に15秒差をつける圧巻の走りでゴールした。
2018年のデビュー以来、初めて表彰台のてっぺんに立ち、「今までやってきたことは、決して間違いではなかった」と喜びをかみしめた。

8耐で二輪に魅せられ

元々は自動車のF1レースが大好きで、高校卒業後に自動車整備士を目指して松本情報工科専門学校(松本市城西)に進学。在学中にオートバイの世界的なレース「鈴鹿8時間耐久ロードレース(8耐)」を観戦して二輪の魅力に取りつかれ、レーサーを目指した。
ライセンスを取得してレース用のバイクを購入。整備士の資格を生かして専門店で働きながら技術を磨き、休日にサーキットに通った。メーカーのチームに所属するトップ選手らは、スポンサーの支援や協賛金を得て活動できるが、サラリーマンの竹下さんは、バイクの購入や整備費、レースごとに交換するタイヤ代も、すべてが自前だ。
「1年目は転倒が多く、バイクを直すのが大変だった」と竹下さん。タイムが速くならず嫌になった時期もあったが、「仲間や店のスタッフが応援してくれるから、頑張れる」。
第2戦の優勝で、ポイントランキングは初戦の5位から一気に1位に浮上した。第3戦は7月4日。竹下さんは「12月の最終戦まで気を抜かず、シリーズ王者を目指す」と気を引き締めている。