【記者兼農家のUターンto農】#13 マルチ処理(上)

リサイクルして燃料に

収穫が終わると、畑は再び一面マルチシートとなる。もう一度、同じマルチに苗を植えて再利用する場合もあれば、取り払う場合もある。地温を上げる効果の大きい黒マルチは、春の1回で役割を終えることが多い。
マルチの端っこを手繰りながら歩き、剥がしていく。数カ月ぶりに土の地面が日の目を見る。むき出しになった黒土で、時々、体をくねらせる大きなミミズが見つかる。マルチの下は、それなりに豊かだったようだ。
剥ぎ終わったマルチは、巻き取り機でまとめる。うちの道具は完全手動。グルグルと回す腕の力で、巻き取っていく。
剥がす作業も含め、単純でキツい。おまけに、ほこりっぽい。一仕事終えて鼻をかむと、ティッシュは真っ黒だ。
とはいえ、苦労はここまで。まとめたマルチは、回収所に持って行き、後は業者任せだ。
とはいえ、気になる。この後、どうなるのか? JA松本ハイランド塩尻支所のマルチを引き受けている廃棄物処理会社、フロンティア・スピリット(松本市和田)に聞いてみた。
担当者によると、回収したマルチは、塩尻市内の工場に運ぶ。破砕して、再利用できない古紙や廃プラでつくる固形燃料RPFに成型する。製紙会社に出荷され、段ボールを乾かすボイラーに使われるという。リーフレタス出荷用の段ボール箱が頭に浮かんだ。
ただ、農業用マルチは、燃料の原料としては扱いにやっかいなところがある。回収が農繁期の5~11月に限られること。そして、泥の付着。たくさん付いていると、破砕機具の摩耗が激しいという。
思い当たることがあった。JAからは泥をなるべく落とすように言われているが、雨が続いた時など、つい面倒になってしまうことがある。
電話口で、フロンティア社の担当者にせめてもの謝意を伝えた。