認定講師・塩原美香さんに聞く―アート「ゼンタングル」の魅力

「ゼンタングル」というアートを知っていますか?コースターほどの大きさの紙に描かれた細密画。一見すると絵心や高度な技術がないと、とても描けそうにないと思うが、簡単なパターンを繰り返すだけで作品を完成させることができるという。瞑想(めいそう)に似たリラックス効果やアーティストの達成感などが得られるとして、最近注目されているこのアートの県内初の認定講師になった塩原美香さん(松本市村井町西)に魅力などを聞いた。

「ゼンタングル」は、Zen(禅)とTangle(絡まる)を組み合わせた造語。ペンと鉛筆だけを使って描くアートで、アルファベットのi(点と線)、C(単純なカーブ)、S(S字カーブ)、O(円)の、4文字が書ければ、誰でも描くことができるという。
描き方は、まずは心を落ち着かせ、ペンで簡単な「パターン」をゆっくりと丁寧に繰り返して描いていく。その後に、鉛筆や擦筆(さっぴつ)(なければ綿棒で代替可)で陰影を付け、仕上げる。

塩原さんは2月、図書館でゼンタングルの本と出合い、早速、ガラスペンで画用紙に描いてみると、その魅力にはまった。
本やインターネットを参考にしながら自己流で楽しんでいたが「基本を学んでみたい」と思い立ち、5月に米国マサチューセッツ州で開かれた4日間のオンラインセミナーを受講。認定講師の資格を取得した。
ゼンタングルには「1度書いた線を消さない」という以外の決まりや失敗はなく、線が曲がっても、それがいい「味」となり、「絵心がなくても芸術家気分を味わえる」と塩原さん。必要な道具が少ないので、誰でも気軽に始められるのも魅力の1つだ。
描くうちに無心になり、集中力や自信が付き、達成感や満足感を得られるほか、ストレスを軽くする効果などもあり「心のヨガ」ともいわれている。
塩原さんは「県内ではまだ知名度が低い。多くの人に知ってもらい、子どもの集中力を高めたり、育児や家事などのストレス発散をしたりするお手伝いになれば」と期待する。
7月8日に「NHK文化センター松本アイシティ21教室」で体験教室を開くほか、要望があれば、サークルなどへの出張も行う。

【ゼンタングル】発祥は2004年。米国マサチューセッツ州のリック・ロバーツさんとマリア・トーマスさんが始めた。
文字を美しく見せる「カリグラフィー」と植物細密画の「ボタニカルアート」の作家だったトーマスさんが、文字の中に単純な線を繰り返し描いている時に、雑念から解放され、無心になっている自分に気が付いた。
修道僧として、瞑想や精神修養の修行を経験していたロバーツさんが、そのトーマスさんの状態を、無我の境地に入る「禅」と同じと感じ、その安らぎとリラクゼーションを多くの人に感じてもらおうと2人で「ゼンタングル」を開発した。