【小林千寿・碁縁旅人】#7 落語&楽碁

日本棋院の殿堂資料館で、志ん輔師匠(左)に筆者が説明する動画撮影の様子(6月29日)。
本番で流される

落語「笠碁」と対談を配信

今晩(9日午後7~8時半)、ネット配信の落語とトークの催し「志ん輔と仲間たち」にゲストで登場させていただきます。
古今亭志ん輔師匠の落語「笠碁(かさご)」と、いろいろなエピソードを、東京・市ケ谷にある囲碁の総本山・日本棋院の「幽玄の間」(タイトル戦が打たれる格式ある部屋。囲碁愛好家の川端康成書の掛け軸「深奥幽玄」に由来)から中継します。
落語で碁に因(ちな)んだ噺(はなし)に「笠碁」と「泥碁」があります。「笠碁」の中の有名なせりふ「碁敵は憎さも憎し懐かしし」とは、よく言ったものです。その感じを志ん輔師匠の落語で堪能していただきましょう。
碁を始めたばかりの志ん輔師匠と私のトークは脚本なしで、どのように展開していくのか楽しみです。9日正午までネット(https://shinsukenakama.com/info/3924571)で申し込み可能です。
実は私が落語に興味を持ったのは、中学生の木谷道場の院生(プロの卵)のころ、碁好きの5代目・三遊亭圓楽師匠(星の王子様)が道場に来て碁を楽しまれていたのがきっかけです。テレビ番組「笑点」の司会をする圓楽師匠を通じて「言葉の面白さ」に目覚めました。
そしてプロ棋士になりたてのころ、やはり碁を打つマジシャンの伊藤一葉さんに社会見学として噺家が集まる新宿のバーに連れて行ってもらった時、偶然、立川談志師匠がカウンターで一人、飲んでいたことがありました。自己紹介をするとテンポ良く「君は碁のプロ棋士か!笠碁、泥碁くらいは知っておけよ!」と。そのまま「笠碁」を私だけのために噺してくれたのです。
それが、どのくらい粋な計らいだったのか、後々気づかされ、今も深く感謝しております。
(日本棋院・棋士六段、松本市出身)