学校と地域住民が交流―大町北小学校の「北小カフェ」

「学校は敷居が高い」イメージを持つ人は多いと思います。特に子どもが卒業すると、一気に遠く感じてしまうという声も。そんな保護者や地域住民と学校が、良い関係を築くための第一歩として「まずはコミュニケーションを取ろう」と始めたのが大町北小学校(大町市大町)の「北小カフェ」です。6月の集まりにおじゃましてみました。

30~70代知恵や経験談も

カフェは毎月1回、午前9~11時に多目的ホールで開きます。この日集まったのは30~70代の20人。在校生の保護者をはじめ、前年度のPTA会長、学校支援コーディネーター、卒業生の保護者、ほとんどの児童が進学する第一中学校の関係者など顔ぶれはさまざまです。
会場の一角にはポットとコーヒー、紅茶、お茶、茶菓子が用意され、セルフ式で作って好きな席に着きます。
議題は特に決めず、この日は自己紹介と参加理由などを一人ずつ発表した後、4つのグループに分かれて「お手伝い」をテーマに話しました。
ある人の「今、『お手伝い』という言葉は消えているのでは?」という一言から、次々とエピソードが出ました。
「昔は家事も農作業もほとんど手作業で人手が必要だったこともあり、子どもも重要な働き手だった」「(子どもの)自分がいないと家が回らないくらいの気持ちだったので、仕事(手伝い)をするのが当たり前だった」「農家の長男はみんなが遊んでいる時に仕事をさせられて嫌だった」「夏休みは自分の収穫する場所が決まっていたので、早く終わらせて遊びに行くために、知恵を絞って兄や姉より早く収穫できるようになった」など話は尽きません。
そんな話題から、「知恵や経験はあるけれど体力がないお年寄りと、体力や情報はあるけれど知恵がない子どもをうまく結び付けられないか」「おじいちゃんおばあちゃんが助かる状況をつくり出す農業体験はどう?」というアイデアが出て、講座を開く構想まで発展しました。

「 議題」はなくても楽しく

北小カフェを提案したのは、同小の卒業生の母親、中村真由美さん(41、大町)です。きっかけは、子どもが同小に通っていた時に始まった、地域住民が学校運営に関わるコミュニティスクールの運営委員になったことです。
「まさに『なっちゃった』で、最初はやらされ感しかありませんでした。でもある時、校長先生に呼ばれて『どんどん活動してください』と言われ、その瞬間『自分がやるんだ』というスイッチが入りました」
ところが出席した運営委員会(年3回)は、始まりの言葉から今日の議題、校長先生のあいさつ、学校からの報告といったお決まりパターン。「こんな形式的なことでは始まるものも始まらないですよ」と提案したこともありました。
そんなもやもやした気持ちを抱えていた時、たまたま学校にカフェがあるという記事を目にし、直感で「これだ!」と思います。自分の仕事が忙しくコロナ禍もあって1年ほどかかってしまいましたが、昨年9月にスタートしました。
中村さんは「最初は議題が必要かなと思いましたが、そんなことはなく、自己紹介だけで時間が終わってしまいそうなほど、皆さんいろんなお話をしてくださいます。『ちょっと聞いてよー』みたいな、ざっくばらんに話すことでいろいろなアイデアが生まれています」。
宮入勝彦校長(56)は「学校という場で、いろいろな世代の交流ができてありがたい。積極的に児童と関わっていただくことで、大切なことを学べています」と話しました。
北小カフェは地区に関係なく誰でも参加できます。開催日は同小ホームページに掲載します。