閉店したそば店の倉庫新装し古道具店

祖父母の店新たなにぎわいを

昨年6月、安曇野市穂高の「そば処(どころ)常念」が惜しまれつつ閉店した。その敷地内の倉庫に今年4月、古い家電や家具などを扱う「古道具今市」が誕生した。手掛けるのは、藤原弘宜さん(32)とパートナーの木村徳子さん(29)。毎月1~7日に店を開ける。
木村さんが3月、祖父母が経営していた「常念」の倉庫を片付けようと開け、ほこりだらけの室内を見た時、一緒にいた藤原さんがひらめいた。「ここをきれいにして、古道具屋をやったら、面白いのではないか」
そばを食べにさまざまな人が訪れた場所だけに、今後も同じように人が集まる場所として活用したい―。木村さんのそんな願いと、古いもの好きの藤原さんの思いが重なった古道具店が動きだした。

人から人へ…古道具の魅力

たんす、椅子、サイドボード、電気スタンド、レコードプレーヤー、ギター…。木村徳子さんと藤原弘宜さんが営む「古道具今市」には、明治~平成に作られたり使われたりしたさまざまな品物が並ぶ。古い物好きにとっては、おもちゃ箱、宝箱のようなスペースだ。
藤原さんは愛知県出身。旅の途中で木村さんと知り合い、2年前に都内から木村さんの故郷の安曇野市に2人で移住。リサイクルショップや古道具店を回るうちに、古い物の持つ魅力にはまった。木村さんと好きなカフェ巡りを楽しむうち、カフェに目立つ年代物の道具に興味を抱いた。
大事に長く使われてきた物が今も残っていて、それが違う誰かの手元でまた役に立っていく―。アンティーク品にはそんなロマンもある。「人間でも、経験を積み重ねた人にはそれだけの魅力を感じる。物も同じ」と藤原さん。

藤原さんは新聞配達の仕事を、木村さんは飲食店の仕事をしながら「古道具今市」を定期開催する。藤原さんは空いた時間に古道具店を回り、目利きの力を磨く。商品の「調達」のため、蔵や家を片付ける人も探す。椅子の座面に古材を使って味を出すなど、家具のリメークも。「捨てればごみ。せっかくこれまで残ってきた道具に、新しい命を吹き込みたい」
コーヒー好きの木村さんは、「今市」に足を運んでくれた人にコーヒーを入れ、味わってもらうこともある。
オープン中の土、日曜日のいずれかは、人が集まる場所にしたいと、マルシェも開催。ドリンクやフード、手作りアクセサリーの店などが出店している。
作られた時期が違う品物が同じ空間に同時に並ぶ古道具店。「今市」の店名には、古いものを今に生かす店―など、さまざまな意味を込めたという。2人は、過去でも未来でもない今のことを考え、今を一生懸命生きながら、「今市」を自分たちなりの空間に進化させていくつもりだ。

【インフォメーション】毎月1~7日の正午~午後6時にオープン。販売以外に不用品の無料引き取りもしている。8月のマルシェは1日正午~午後5時に開く。詳細はインスタグラム(「古道具今市」で検索)で。問い合わせ、不用品の引き取り申し込みはメールimaichi2021@gmail.com