【ガンズリポート】中学女子プレー続ける場

松本山雅FCレディースU―15(15歳以下)が誕生して3年目に入った。北信越リーグで上位争いを演じ、目標とする全国大会での初勝利をうかがう。女子中学生のプレー環境整備という目標に向け、「山雅ファミリー」としての存在感を発揮し始めている。
チームは11日、U─15女子北信越リーグ後期2節のFCシュロス松本VIVO戦に臨み、6―0で勝った。前線からの積極的な守備と、個々の技術で試合を支配した。
主将のDF弦間結月(豊科南中3)は、CKから頭で2発決めるなどハットトリックを達成し、「同じ地域や県内のチームが相手だと、山雅として絶対に負けられない」。
北信越リーグに初参戦した昨季は、コロナ禍で6試合しかできなかった。今季、前期は4勝2分け1敗で8チーム中3位。1位のアルビレックス新潟レディースU―15には敗れたが、長野パルセイロ・シュヴェスターと引き分け、シュロスに勝った。
後期は開幕2連勝。今季から指揮を執る高橋耕司監督(58)は、リーグ戦を秋からの北信越選手権や全国選手権に向けた強化の一環とも位置づけ、「しっかり内容を見ていきたい」とし、育成組織として「次のチームで活躍する選手を育てたい」と、先も見据える。
弦間は、次を目指す1人。サッカーは小3で始めた。今は平日に3日練習し、週末に試合というパターン。「自分が好きなことなので楽しい」。高校でも続け、プロになりたいという。
山雅が2019年春にレディースU─15を設立したのは、女子が中学進学後もサッカーを続ける環境が、県内では乏しいという現状認識からだった。
運営するNPO法人松本山雅スポーツクラブの青木雅晃理事長(34)は「改善には、山雅だけが強くなっても意味がない」と話す。要になるのは人材育成。「サッカーがうまいだけではなく、多くの人に応援してもらい、今サッカーをやっている子どもが『続けたい』、周りが『続けさせたい』と思えるような選手を育てたい」と、山雅発の波及効果をつくりたい考えだ。