安曇野の水田に2羽のコウノトリ飛来

驚きの生態 劇的な捕食

安曇野の水田地帯に5月上旬と7月上旬、国の特別天然記念物で絶滅危惧種のコウノトリ2羽が相次いで飛来した。優美な飛翔姿や驚きの補食シーン…。信州では滅多に見られない生態に、1200ミリの超望遠レンズを付けたカメラで迫った。

1羽目は5月5日、安曇野市堀金烏川の水田で確認された。兵庫県立コウノトリの郷公園(豊岡市)によると、足環のカラーリングから、京都府京丹後市の人工巣塔を昨年8月に巣立った1歳の雌で、個体番号はJ0330と判明。その後、穂高柏原や明科中川手、豊科南穂高の水田に姿を現した。
同12日、豊科南穂高で3度目の撮影に挑んだ。田植え前の水田に何羽も集まったサギ類に交じり、一際大きいコウノトリが水面に鮮やかに映る。距離は約120メートル。細く長い脚で土手際を行ったり来たりと動き回る。
その脚がぴたっと止まった。泥の中に長いくちばしを差し込み、捕まえたのは、大きなドジョウ。のみ込もうとするが、くちばしに巻き付いて離れない。突然のハプニングに驚くコウノトリの表情を連写した。
23日以後、安曇野を探し回ったが姿が見つからなかった。同月30日、新潟県村上市で確認された。

2羽目は、7月1日に松川村板取で確認された。福井県越前市の巣塔から昨年6月に巣立った1歳の雌で、個体番号はJ0300。3月25日まで鹿児島県志布志市にいたことが分かっている。
2日午後3時。松川村の現場に到着。水田の土手で羽繕いの真っ最中だった。稲の丈が45センチほどあり、捕食シーンは無理。撮影は優美な飛翔姿にこだわった。
6日午後5時8分。アオサギの群れに誘導され、コウノトリも舞い上がった。不運にも後ろ姿。ファインダーの中でシルエットのコウノトリが羽ばたく。その姿は影絵のように美しい。約600メートル先の旋回シーンまでひたすら追い続けた。
9日以降も探し続けているが、確認できていない。コロナ禍の中、多くの人を感動させ、夢と希望と癒やしを安曇野に運んでくれたコウノトリに感謝し撮影を終えた。

(丸山祥司)

【コウノトリ】
中国北東部からロシアのアムール・ウスリー地方で繁殖。野生の成熟個体数は2500羽未満とされる。日本には、野生復帰による放鳥個体など238羽が野外生息。翼を広げた大きさは2~2・2メートル、体重は4~5キロ。肉食でドジョウ、ナマズ、カエルや昆虫類などを捕食する。飼育下の平均寿命は35年。