池田に夫婦の工房「touca] 光放つガラス器×花の姿感じる磁器

光を集めて放つ透明なガラスの器と、グラデーションが美しい花をイメージした磁器。ガラス作家の西垣聡さん(37)と陶芸家の片瀬有美子さん(32)夫婦の工房「touca(トウカ)」がこのほど、池田町会染の北アルプスを一望する高台に完成した。
東京や京都、金沢で展覧会を開くなど、県外で活躍してきた。富山県南砺市に工房を構えていたが、子育ての環境を求め、有美子さんが生まれ育った池田町へ拠点を移した。
3歳の長女、双子で1歳半の次女と三女の3人の子育てに奮闘しながら、合間を縫って創作活動に励む。若い頃の有美子さんが魅力を感じなかったという池田の自然豊かな環境が今、親として、創作家として送る多忙な日常を支えている。

ロックな精神が代表作の原点に

京都府亀岡市出身の西垣聡さんは、25歳まで京都で美容師として働いていた。旅行で訪れたイタリア・ミラノの教会のステンドグラスの美しさに感動したのをきっかけに、ガラス制作の道へ。富山市にある学校・富山ガラス造形研究所で基礎を学んだ。
学校の課題から生まれたのが、聡さんの代表的な作品「Highlights」だ。吹きガラスで作った厚手のグラスを、まるで鋲(びょう)のように立体的に切子の手法で削っていく。削る作業は「めちゃくちゃ大変」。当時、友人らとパンクロックを演奏していたこともあり、ロックなイメージを形にしたかったという。
学生の頃より今の方が技術的には格段にうまくなっているが、「もっと荒々しいロックな精神は初作品を超えられない」と話す。

子育てを通じて生まれた遊び心

片瀬有美子さんは、東京の美術大学と岐阜県の多治見市陶磁器意匠研究所で陶芸を学んだ。本来は陶器に用いる古い技法「モカウェア」を応用した独自の技法で磁器を作る。自分の表現を広げたいと進んだ金沢市の金沢卯辰山工芸工房で聡さんと出会った。
双子の出産を機に地元へ戻り、近くで暮らす実家の家族の協力も得て、新しい工房で聡さんとそれぞれの制作に励む。「ようやく落ち着いて作品が作れるかな」と安堵の表情を見せる。
子どもとの散歩で見掛けた花から模様や色のヒントをもらったり、拾ったアジサイの葉で小皿の型を石こうで取ったり。子どもと過ごす中で、作品に遊び心が生まれたという。
池田で暮らす2人からこの先どんな作品が生まれていくのか楽しみだ。

【インフォメーション】
有美子さんは7月30日~8月23日、生坂村北陸郷のギャラリーカフェ「工芸と喫茶ひとつ石」で、県内で初めての個展を開く。普段使いのカップや皿、ブローチ、ピアスなどを展示販売。金~月曜午前11時~午後6時。詳しくは有美子さんのインスタグラム(「片瀬有美子」で検索)。聡さんの作品などは本人のウェブサイト(「西垣聡」で検索)で。