【講演会聞きどころ】伊那食品工業最高顧問・塚越寛さん

末広がりの幸せ目指そう

松本市の松本大が学生を対象に開いた「地域公開講座」で、伊那食品工業(伊那市)最高顧問の塚越寛さん(83)が「本当の学びとは」と題して講演した。好不況にかかわらず、木のように少しずつ成長を重ねる「年輪経営」を提唱してきた塚越さんの話を、総合経営学部総合経営学科の2年生ら約130人が聞いた。(7月19日)
「幸せ」は、だんだん良くなっていく「末広がり」が良い。そのために個人も学校も企業も、常に夢を持つことが大切だ。夢が現実に近づいてくる時に、幸せに浸れる。わが社も最初は貧乏だったから、少しの工夫がすぐに成果につながった。今がつらくても貧しくても、これ以上落ちることはない。「末広がり」は人生においてすごく大事で、素晴らしいということを学んでほしい。
私たちに「今」はありそうでない。人は過去の思い出と、これから起こるであろうことへの期待のはざまで生きている。だから、夢を実現するための計画がものすごく大切。人生は一度きり。幸せに生きなきゃ意味がない。
人生の大半を過ごす会社が、楽しくなくてどうする!自分なりの工夫ですべて楽しくしよう。工夫ができる人はよく気付き、役に立つ。会社からも重宝される。若いうちから「気付ける人」にならないといけない。
17歳で肺結核を患い、3年間の苦しい闘病が続いた。その時期に「健康が一番幸せ」だと思った。だから経営でも社員の健康に最も気を使ってきた。この時期がなかったら、今の自分はいない。
世の中には「自分が幸せならそれで良い」という、本能のままに生きている大人がたくさんいる。情けない。己を忘れ、他人を利する「忘己利他」ができたら、人間は最高だと思う。私は、社員の幸せのためにやってきた。
人は、自分の理想を実現するために「How to do」(どうするべきか)ばかりを考えているが、大切なのは「How to be」(どうあるべきか)。学生として、教師として、経営者として「自分はどうあるべきか」で、ものごとを考えるべきだ。
与えられた環境を不幸だと思わず、前向きに歩んでいってほしい。