【ガンズリポート】数字で見せる名波流指導 J2再開間近の意識改革

東京五輪で中断しているJ2リーグは、五輪閉幕後の9日に再開する。3週間に及ぶ中断の間に、松本山雅FCの名波浩監督は、選手の意識改革を推し進めている。その道具の一つとなっているのが数字だ。
中断前の23節・7月17日の水戸ホーリーホック戦では、先発させたMF河合秀人を前半だけでベンチに下げた。試合後、名波監督はボールタッチの少なさを理由に挙げ、「河合には、攻撃時はボールに触ることに特化しろと言ったが、19回で前の試合と変わらなかった」。
この数字を直接伝えられたという河合は「具体的な数で指摘されたのは初めて」。Jリーグ6季目の27歳は「タッチ数のことは名波監督によく言われる。自分の色をどう生かしてプレーできるか、中断の間に考えている」と神妙な面持ちで話す。
プレーを数字で示すのは、名波監督がジュビロ磐田を率いたときからの手法だという。「分かりやすいでしょ」。課題を可視化し、選手を納得させる。
中断期間の練習試合では、前の選手を追い越して攻めに参加するプレーを数えた。同じようなポジションなのに、15回の選手がいた一方で、わずか2回の選手がいた。「論外だよ」と名波監督。状況判断の悪さを、数字でくっきりと突きつける。
指導の本番はここからだ。プレーの映像も見せて選手に考えさせる。追い越せたときはなかったのか。「他の選手との2次的、3次的な連動を考えるようになる。状況判断に深みが出てくる」
数字を操って促すのは、前へ向かうプレーを優先する意識づけだ。まずは再開初戦の9日、敵地に乗り込むブラウブリッツ秋田戦で成果を示せるか。