地元愛 山賊焼きとバイクで

本郷鶏肉会長 山﨑肇さん

鶏肉、総菜の製造販売などの本郷鶏肉(松本市市場)の社長を退き、会長になって5年目。山﨑※肇さん(69、松本市浅間温泉1)は、「地元を隅々まで知り尽くしたい」と、趣味のオートバイで峠を巡りながら、「地元産の鶏肉で山賊焼きをつくる」という夢を追っている。古希を目前に、「地元愛」が意欲を駆り立てている。

「地産・地消」プラス「地活」

同社の理念に「地産・地消」ともう一つ、「地活」がある。「地元で生まれ、地元と共に生きる、地元を活(い)かす」という意味だ。
「信州のことを本当に知っているのか。地元を隅々まで、体感しないといけない」と思った山﨑※さん。「信州百峠」という本に出合ったこともあり、オートバイで峠を巡ることにした。
「高速道、国道を大動脈とするなら県道は動脈。そして峠道は、毛細血管」と例える。
峠道は、狭く、でこぼこしていることが多い。大型免許を持つが、「取り回しがいい」と、排気量110ccのオートバイにまたがる。
越えられる峠もあるが、土砂が崩れていたり、草だらけだったり、倒木に行く手を阻まれたりで、入り口で断念することも、頂上で引き返すこともあった。
これまでに、139の峠に挑戦。最終目標は200で、今年中に150を越えるのが目標だ。「荒れたままの峠を見ると、地域の衰退を目の当たりにした感じがする」とし、「毛細血管の先に、育んだ文化がある。このままではまずいんじゃないか」と、地域らしさが失われつつあることに危機感を募らせる。将来、自身の峠越えを記録にまとめ、「峠の文化」を後世に伝えるつもりだ。

地元産の餌で地鶏の生産を

「地元の鶏で、山賊焼きを作りたい」。山﨑※さんのもう一つの夢だ。山﨑※さんの母が同社の社長を務めていたときは、地元の農家から鶏を集めていたが、今では、県外産、輸入物がほとんど。
自身が現役時代には、山賊焼きを広める活動にも取り組んだが、「せっかく振興しても地産・地消できなければ廃れるのではないか」とこちらにも心配顔だ。
輸入の飼料を与えていることも問題視。「正真正銘の国産地鶏はいるのか疑問。地元で鶏を飼うことも重要だが、まず国産の餌を与えたい」と力を込める。
このため、5年前から松本大学、南安曇農業高校の教員らと、「信州地鶏を語る会」を設立。2018年には、信州大農学部の大学院に入学。「長野県における肉用鶏飼育の変遷と鶏肉の自給」をテーマに修士論文と、学位論文にまとめた。
地鶏の生産に向け、協力者を増やすとともに、地元産の餌を使う仕組み作りを一番の目標に掲げる。
日本の食料自給率の低さを懸念しながら、山﨑さんは「日本人がまともに食べられない時代が来るのではないか。少しでも自給率を上げるきっかけになれば」と地元から、日本全体のことを考えている。