コロナ下の滝行 早期収束祈る(王滝村)

祝詞を奏上し、滝に神を呼ぶ「四方礼拝」の儀式=ニコンD5、ニッコールEDAF-S28-70ミリ、8月1日

緊張感に包まれる清浄の領域

王滝村の御嶽山3合目にある清滝不動尊の清滝。古くから御嶽行者の精進潔斎(しょうじんけっさい)の場として知られ、夏には県内外から信者や参拝者らが滝行に訪れる。
1日午前8時半。最初に臨んだのは、滋賀県東近江市から訪れた「小池会」の35人(3~80歳)だ。滝の高さは約30メートル、この日の水温は15・5度。白装束姿の一行は、まず清滝不動尊に手を合わせた。清滝を見上げ、伊藤芳江代表(75)が天と地を結んで邪気を払う祝詞(のりと)を唱える。滝に塩とお神酒をまいて清めた後、十字を切り、降神の儀、6人での四方礼拝。滝に入る前には滝割りの九字(くじ)を切った。
コロナ下で臨む滝行。参加者は間隔をとり、滝に入る直前まで全員がマスク姿で臨んだ。伊藤代表が一人一人に正面と背後から九字を切ると、次々に滝の中へ歩を進める。豪快な滝に身を打たれながら一心に祈る信者たち。滝の周囲に張られた「結界」の清浄の領域は極度の緊張感に包まれ、霊気が伝わってきた。
大自然と一体になる感覚を覚える滝行は、水圧、極寒、轟(ごう)音、孤独などの極限状態で行う心身を鍛える修行だ。向き合うのは「滝」ではなく「自分自身」である。
「収束が見えないコロナ禍の逆境の中、世界人類の幸せと小池会の皆さんの平穏無事を願い、これまでにない危機感を持って祈りました」。伊藤代表はそう話した。
(丸山祥司)