「カムカム健康プログラム」県シニア大学生が研究に協力

口の健康意識高めて

口の機能の衰え「オーラルフレイル」の予防を中心に、運動と社会参加を含めた複合的なフレイル予防と健康増進を推進する「カムカム健康プログラム」。この実証研究に本年度から県シニア大学生が協力。かみ応えや栄養に配慮した「カムカム弁当」を食べるなどし、口の健康の意識や関心を高めている。食事の現場を訪ねた。
加齢で心身の活力が弱り要介護状態に近づく途中の「フレイル」。この予防の一つに近年、口の健康維持が注目されている。かむ、飲み込む、話すといった口の機能が低下する「オーラルフレイル」は、栄養不足などの原因にもなり、全身の虚弱にも影響を及ぼすからだ。
カムカム弁当は、県シニア大学の学部のある地元業者がメニューを考え製造する特注品。エネルギー約600キロカロリー、タンパク質25グラム、ビタミンDは2・75マイクログラムを摂取でき、食塩相当量は2・5グラム以下に抑えている。
かみ応えや食感を意識するために、食材は大きめに切ったり加熱時間を短くしたり、水分を少なめにしたり。白米よりかむ回数が多くなる玄米や、ゴボウを加えた鶏唐揚げ、ローストしたソバの実を載せて焼いたサワラなど、主食、主菜、副菜ともに工夫が凝らされメニューは毎回変わる。
同大大北学部の女性(81)は「普段食べている食事よりもだいぶ歯応えを感じ、『かまなくちゃ』という意識は強く持てた」と弁当の感想を話した。
誰かと一緒に食事をしながら話題を共有する「共食」もフレイル予防には効果的。コロナ禍の現在、シニア大学生がカムカム弁当を食べる際は、感染対策として距離を保ち「黙食」をしているが、管理栄養士や歯科衛生士、弁当製造業者らによる「昼食時ミニ講話」を実施。学生たちはしっかりとかんで味わいながら、耳からも情報を取り入れている。
同学部の西沢さくみさん(75、大町市)は「口の健康にはもともと意識はあったが、講義で学んだプログラムの要点を近所の人に伝えたり、唾液分泌を促すマッサージを実践したりするようになった」と変化を話す。

カムカム健康プログラムは、東京医科歯科大大学院(東京都)の松尾浩一郎教授(46)を研究代表者に、松本歯科大(塩尻市広丘郷原)総合歯科医学研究所の増田裕次教授(60)らによる共同研究。
口の健康に気を配り、筋肉維持や骨を丈夫にする栄養を含み、かみ応えや食感を楽しめる食事に、運動や社会参画を加えた行動の実践で、口や体の機能に改善が確認されている。
増田教授がシニア大松本学部で口の健康についての講義を担当していた縁から、本年度は松本と大北学部の1年生約110人が研究に協力。6月に両教授による講義を行った後、講義日の昼食に月1回程度、計5回、カムカム弁当を食べ、日常的な口の健康管理や運動、食事などの意識や行動変容をアンケート調査。健康寿命の延伸にも役立てる。
増田教授は「いろんな物を食べられる健康な口でないと栄養は偏る」と指摘。このプログラムは食の選択を広げ、栄養バランスも良くなる好循環が期待できるとし、「口の健康への意識を高めて全身の健康維持、増進に役立ててもらいたい」と話す。