「日本泳法」で全国出場 松工3年・相河さん

競技の魅力伝えたい

国内各地に古くから伝わる「日本泳法」の全国大会が8月21、22日、千葉県習志野市で開かれ、松本市の神伝流松本同好会に所属する松本工業高校3年の相河悠太さん(18、同市島内)が初出場した。結果は予選敗退だったが、「競技の面白さや長い歴史を、多くの人に知ってほしい」と、今後も練習を積んで好成績を目指す。

全国に13の流派

日本泳法は戦国時代、水中で戦う際に多くの技が生まれたとされ、武士が剣術のように受け継いできた。明治期に「国民皆泳」が掲げられ、学校の授業でも教えるようになったが、近代4泳法(クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライ)が普及したことで、徐々に廃れたという。
現在は全国各地に13の流派があり、県内ではこのうち2つが活動。中信地区は神伝流だけで、14人が同市の今井市民プールなどで練習している。10、20代は相河さんを含む7人。東京から訪れる師範に習うなどしている。

役立つ泳ぎでも

相河さんは2歳で水泳を始め、競泳を続けていた高校1年の秋に、誘われて入会した。日本泳法の大会は速さを競う競泳と違い、目線や手・足・体の伸び、動作のスピードなど、水と一体となって巧みに泳ぐ技術や美しさを競う。初出場の全国大会は「レベルが高く、流派によって異なる泳ぎ方にもびっくりした」と振り返る。
水難事故の救助や水球、アーティスティックスイミングなどでも用いられている日本泳法だが、「知らない人が多い」と相河さん。「川や海などで万が一、水にのまれた際、余計な力を使わない“生きるための泳ぎ”としても役立つ」とし、自身が大会で好成績を収めることで、競技の注目度を高めようと意気込む。