松本国際高校(松本市)女子硬式野球部が、2年生以下による秋の全国大会「第12回全国高校女子ユース大会」(8月26~31日・愛知県)で8強入りした。1期生の3年生5人が夏に引退、監督も代わり、新チームで挑んだ最初の大会で、悲願の全国初勝利を挙げた。「次は全国4強に」とさらなる高みを目指し、練習に力が入る。
ユース大会は、春の選抜、夏の選手権に次ぐ、高校女子の全国3大会の1つ。37チームが出場し、トーナメントで争った。
松本国際は初戦で、今春の練習試合でサヨナラ負けした東海大静岡翔洋に5─2で雪辱し、2回戦は強豪の京都両洋が棄権し不戦勝。3回戦は、今春創部した啓明学館(愛知)に17─0の5回コールドで大勝した。
準々決勝は、2019年夏の全国覇者の作新学院(栃木)と対戦。松本国際は初回に1点を先制、3回にも1点を加えたが、4回に1点を返され、最終7回1死二、三塁から2ランスクイズを決められ、2─3の逆転サヨナラ負けを喫した。
準々決勝で2本の適時二塁打を放った先発右腕の駒津美琴(2年、長野市出身)は「最後の詰めが甘かった。あと一本が出ず、得点機を生かせなかった」と力不足を認める一方、「強敵に善戦できたのは、大きな自信になった」と胸を張った。
来夏は甲子園で全国制覇目指す
県内唯一の女子硬式野球部として、19年に5人で創部した松本国際。本年度3学年がそろい、22人で夏の全国選手権(7月、兵庫県丹波市ほか)に単独チームで県内から初出場を果たした。初戦で強豪の埼玉栄に1─8で敗れたが、大舞台での経験と大敗した悔しさが、1、2年生16人の新チームを大きく成長させた。
「やり切った」と、引退した1期生と共に部を去った長田夏美監督の後任に、今夏まで同校男子野球部の部長だった丸山直人教諭が就任した。新主将の伊藤小雪(2年、伊那市出身)は「熱心で、アドバイスも分かりやすい。これまで以上に楽しく、真剣に野球と向き合えるようになった」と話す。伊藤は次の目標を「春の選抜で4強入り。そして来夏は、今年の決勝の舞台となった甲子園で全国制覇」と力を込める。
粘り強く勝てるチームにしたい
丸山新監督に抱負や意気込みを聞いた。
─就任後、短期間で新チームを全国8強に導いた。
「夏の全国大会を見て、個々の能力が高いのは分かっていた。適材適所で内野のポジションを変えたり、エラーからの失点が多かったので、ミスをなくす実践的な練習に取り組んだりした。ユース大会は、春に敗れた相手との初戦に勝ったのが大きかった」
─どんなチームにしたいか。
「粘り強く、最後までしぶとく、接戦をものにできるように育てたい。まだ若いチームなので、1期生や前監督が積み上げてきたものを大事にしつつ、レベルアップを図りたい」
─課題は。
「得点力。打線をいかにつなぐか。まだ連携がうまく機能していない。基礎練習を中心に、オフシーズンにスイング力や走力アップを図り、全員野球で勝てるチームにしたい」
【まるやま・なおと】大町リトル、大町シニア、大町(現大町岳陽)高で内野手。信州大準硬式野球部1年時に夏の全国大会出場。2年時に秋の北信越大会優勝。卒業後に創造学園(現松本国際)高野球部(男子)コーチを5年間務め、今夏まで2年間は部長。8月から現職。数学科教諭。大町市出身。29歳。