【中村小太郎・駆け出し百姓の自然農奮闘記】#13 おいしさの決め手「はぜ掛け」

収穫の秋、みなさんも近所の田んぼで稲刈り風景を目にすると思います。
大きなコンバインという機械は、多少、台風などで稲が寝てしまっていても大きな音を立てて刈り取り、稲を吸い込んでいきます。後には、秋起こし用に粉々になった稲わらが吐き出されます。作業はあっという間。トラックの荷台に伸ばしたアームから出てくるもみがたちまち山盛りに。時間を置かず、ライスセンター(乾燥保存施設)に向かいます。
慌ただしいように見えるのは、この時期のライスセンターは分刻みの忙しさで、時間に間に合わないと後回しになるから。多少の雨でも作業するのはそんな意味合いもあるようです。
さて、小太郎米。これは対照的にのんびりしたものです。使うのはバインダー。刈り取って束にし、脇に置きながら進んで行く機械です。置かれた稲束を人手で集め、「はぜ掛け」用の棒に間隔が空かないようにしっかりと2階建てで掛け、天日干し。乾いたら脱穀機を使い、もみだけにします。
お米になるまでもう少し。なんて簡単に書きましたが、これが重労働。刈り取りから脱穀まで、1台であっという間にできるコンバインを使いたくなる気持ちは分かります。
自然乾燥がおいしさの決め手と信じて家族で黙々と作業します。出荷用はライスセンターで温風乾燥している親戚の農家も、量が少ない自家消費用は「はぜ掛け」をしています。やはりおいしい証拠かな。