時代映す「国鉄の風景」 信毎が出版 県内の報道写真収録

国内の旅客輸送・物流を担い、通勤・通学をはじめ人々の「足」として大きな存在だった「国鉄」が昭和62(1987)年に民営化されて34年。昭和30~60年代、県内で関係する報道写真を集めた『信州 国鉄の風景』を、信濃毎日新聞社が出版した。記者、カメラマンが現場で切り取った一枚一枚の集積は、一つの「時代」を映し出す。
収録した写真は信毎の紙面に載った350枚余。信越本線、中央本線、飯山線、小海線、篠ノ井線、大糸線、飯田線の7線に分けて掲載。各線ごと主な出来事を年表で示した。
蒸気機関車(SL)から電化へ、中央本線塩嶺トンネルの開通、北陸新幹線整備計画など、鉄道を取り巻く環境が大きく変わった時代だった。
集団就職する中卒者の見送り(昭和40年・松本駅)、登山客で通路まで埋まった新宿発長野行き鈍行列車(50年)、ホームから隣接の踏切まで通学の生徒らであふれる南豊科駅(53年)など、世相を反映した懐かしい光景。県内初の本格的な商業駅ビルとして誕生した松本駅(同)、塩嶺ルート開業(58年)など大事業も数多い。
木曽谷を走ったD51蒸気機関車、新宿-松本間の気動車急行「アルプス」、名古屋-長野間の381系振り子式電車特急「しなの」など、活躍した車両の往年の姿は、鉄道ファンにも喜ばれそうだ。
編集を担当した内山郁夫出版部長(56)は「記者だから立ち入りを許可されたものや、現場に駆け付けたからこそ撮れた写真も多い。戦後・昭和の鉄道史とともにその時代の事件、世相が見える内容になった」と話す。
B5判モノクロ、256ページ。2200円。信毎出版部TEL026・236・3377