「たのめの里」に魅せられた2人 両小野地区の魅力を発信

地に足が着いたベストな場所

「たのめ(憑)の里」。塩尻市南部の北小野と、隣接する辰野町小野からなる両小野地区を指す。古くは枕草子にも名前が登場する。行政区こそ違うものの、山々に囲まれたのどかな景観が残り、独自の風土を一体的に育んできた。
ここを舞台にしたイベント「きましょ!たのめの里」が3日、初めて開かれる。親子連れなどが名所や史跡を歩きながらクイズに答え、地域の歴史などを知ってもらうユニークな催しだ。
企画したのは、北小野の公務員、三枝(さいぐさ)大祐さん(32)と妻の実生子さん(31)。県外から移り住み、今年は長女、和花(のどか)ちゃんも生まれた。
「直感的にピンときた」という憑の里に魅せられ、居を構えて活動する2人を訪ねた。
「たのめの里を広め隊」代表を名乗る三枝実生子さんと、夫の大祐さん。2人は、京都大の学生時代に知り合った。
小さい頃から山など自然に親しんだ実生子さんは福井県出身。環境省に入省し、霞が関での勤務のほか、国立公園のレンジャー(自然保護官)として長野市戸隠にも駐在した。塩尻と辰野にまたがる霧訪(きりとう)山を登山した際、「山から下りてきた時の北小野の風景がすごくきれいで、子育てするならこんなところで、と思った」と、北小野が忘れられずにいた。
福岡県出身の大祐さんは、2017年に企業の営業マンから塩尻市職員に転職し、実生子さんより一足早く塩尻に移住。塩尻青年会議所の委員長だった19年、当時から人付き合いがあり愛着のあった両小野地区を舞台に、「たのめの里フォトロゲイニング大会」を企画運営した。地図を手にチェックポイントを回って撮影し得点を競う競技に、県外を含め約60人が参加。地域の活性化や魅力発信に手ごたえを得た。
昨年はコロナ禍でこの大会が中止になり、改めて何をすべきか話し合った。「塩尻や辰野に住んでいる人からも、小野ってどこ?と言われる。まずは足元の地元の人に知ってもらえることを」(大祐さん)、「コロナ禍で我慢が続き、自分たちはもとより地元に住む人に楽しんでもらいたい」(実生子さん)。ロゲイニングの手法も取り入れ、地域の魅力を肌で体感できる企画を膨らませてきた。
「マルシェ」と「謎解きさんぽ」の2本立てを予定していたイベントは、感染急拡大で延期し10月の開催に。「マルシェ」は取りやめとなった。
「謎解きさんぽ」は13組44人の親子が参加予定(応募は既に締め切り)で、体力に応じて30分、90分、120分のコースを選んで回る。実行委のメンバーが手描きした地図を手に、全17のポイントでヒントを得てクイズに答えることで、自然に地域の歴史や文化を知れる趣向だ。クイズの正解者には地元物産品のお土産も。
イベントを支える実行委のメンバーも、ほとんどが北小野地区在住の仲間たち。地元で生まれ育った小山正晃さん(45)は「長く住んでいると、北小野の何がいいかを伝えられない。再発見できてうれしい」と話す。
2人にとって、「自然と生活と仕事が混然一体となり、地に足が着いた場所」でベストな場所という北小野。建設を進めている念願のわが家が完成するのも間近だ。