自然の中に、子どもの居場所 ゲストハウス「シャンティクティ」

池田町会染の山麓にあるゲストハウス「シャンティクティ」は、豊かな森の中で庭いっぱいの花やハーブを育て、無農薬栽培の野菜をかまどで調理するなど、自然に寄り添った環境に負荷をかけない暮らしを体験できる場所です。オーナーの臼井健二さん(72)、朋子さん(56)夫婦は昨年秋から森の一部を開放し、学校に行けない、行かない選択をした子どもや保護者が生活に根ざしたさまざまな活動をする「わのもり」を始めました。話を聞きました。

自ら成長する力を育む

「わのもり」に現在登録しているのは、池田町の近隣や諏訪などの小中学生約20人。活動は毎週木曜日の午前10時~午後3時。親子参加が基本です。
子どもたちは森で自由に過ごしますが、毎回必ず行うのは昼の汁物をみんなで作ること。薪を集めて火をおこし、野菜を切ります。また、庭の桑の実をジャムにしてパンケーキに添えたり、くるみをたれにして五平餅を作ったり、竹の筒でご飯を炊いたりといった活動も。その時々にある自然の恵みに感謝しながらいただきます。
同時に、子どもたちが環境について考え、自ら取り組めるように働き掛けます。例えば野菜くずは捨てずにコンポストに入れて堆肥化して苗作りに、ビニールやプラスチックのごみを減らすため、時には自分たちで作った竹の箸やコップ、葉っぱの皿で食事をするというように。
「ここでは自然が先生です。教育的なプログラムや明確な方針があるわけではなく、みんなで手探りしながら自分たちの形を模索している。心掛けているのは大人は大人で楽しみ、その姿を子どもたちに見せることです」
小学4年生の女児(10)は「普段は家で過ごすことが多く、ここに来て外で遊んだり、物を作ったりするのがとにかく楽しい」。同1年女児(6)の父親は「異なる学年の子どもたちがいて、その中でお世話をしてもらったり、してあげたりと社会性も自然と身に付いていると思う。娘が自ら成長していこうとする力を信じてあげたい」と言います。

他者とつながれる場所

シャンティクティにはいろいろな人が集まってきます。みんなで作物や食事を作ったり、かまどや建屋などをこしらえたりと、暮らしに必要なものを自分たちの手で作りだします。それは「人と人がつながり、互いに刺激し合えるような場所になれば」との願いからです。
臼井さんの3人の子どものうち末っ子の次男誠さん(22)は、小中学校を通して学校へ行けない時期がありました。「あのころは、そういう子どもたちへの理解や居場所も今のようにはなく、私自身も孤立してしまった。学校へ行かせるべきか随分悩み、つらい思いをした」と朋子さん。
そんな経験から子どもたちの居場所づくりや、孤立しがちな子どもや親がつながり、おしゃべりができるような場所にしたいと、保護者の有志と「わのもり」を立ち上げました。
「子どもは本来、多様性の中で成長していく存在で、いろいろな人が認められる社会であるべき。今の子どもたちは考える暇もなく、与えられ続けている。自分はこれでいいのか、何がしたいのかなどもっと悩んでいい。これからは自分自身で生き方を切り開いていく時代ですから」と力を込めます。

登録費2000円(年間)、参加費1人1回500円(子どものみ参加は800円、体験や単発参加は1000円)。冬季はゲストハウスが休業のため活動も休止予定。問い合わせはシャンティクティTEL0261・62・0638