身近な素材で スキンケアにも“家庭の味”

材料はご飯、酢、塩、水、米油─。一見、料理のレシピかと思いきや、実は肌に付けるクリームの材料だ。
松本市の美容師、原田(現姓・碇屋)愛さん(41)。身近な物で簡単に作れるスキンケア法を「キッチンから生まれるスキンケア」と名付け、オリジナルクリームの作り方や、野草や木の実を使ったシャンプーなどを、インターネットやラジオ番組で発信している。
仕事柄、シャンプーや化粧品の成分を学ぶうちに、生身の肌や頭皮、髪を健やかに維持するのにケミカルなもの(化学物質)が必要なのだろうかと疑問に思うようになった。
「お母さんのみそ汁のように、スキンケアにも“家庭の味”があってもいいんじゃないか」。子育てをしながら、日々楽しく実験している。

手荒れが治った ぬか床ヒントに

原田愛さんは、幼い頃から敏感肌で、美容師になってからずっと手荒れがひどかった。ところが約3年前、ぬか床を作り始めたところ、手荒れがすっかり治ったという。
ぬか床の菌と油分、塩分と水分の絶妙なバランスが、合成界面活性剤などが入った洗剤を使うことで肌から必要以上に失われていた皮脂膜を補ってくれたのでは─。そんな考えに至った。
同じころ、安全性の高い化粧品を見分けたいと「オーガニックコスメ・アドバイザー」の資格に挑んでおり、合成化学成分を使った原料について学んでいて思った。「自分も髪にカラーを入れるし、パーマも楽しむけれど、毎日のケアにケミカルなものはいらないのでは」
ぬか床のように皮脂膜を補うスキンケアを身近にあるもので作れないか─。江戸時代はふのりや小麦粉をヘアケアに使ったという文献なども参考に、米ぬか、甘酒や酒かすの発酵食品、生クリームなどさまざまな食材をあれこれ実験。その結果、失敗なく使い心地がいいのは、日本人の主食、米だった。そして考案したのが「ご飯(米粉)クリーム」だ。

洗える天然成分 身近な植物にも

肌や髪を洗うシャンプーも見直したいと思っていたころ、アーユルベーダ(インドの伝統的な予防医学)にハーブによるヘアケアがあることを知った。日本にも同じ植物が自生し、置き換えられるものもあることを知り、愛さんの研究はさらに加熱。和ハーブや薬草の資格を取って植物を学びつつ、ムクロジなどをシャンプーとして試したところ、「洗える天然成分」と呼べるほどの洗浄効果に驚いた。身近にある植物で今最も注目しているのは、欧州では昔からせっけんの代わりとして使われてきたシャボンソウだ。
米粉クリームを子どもたちと一緒に作ったり、庭で採れたハーブを煮出したオイルでマッサージをして寝かしつけたり、体を洗った植物の泡でついでに全裸で風呂掃除をしたり。おかげで家族とのコミュニケーションが増えた。「足元の雑草が宝物に思え、四季折々を楽しめるようになった」。家庭で楽しめるアイデアを提案すべく、愛さんの実験は続く。

スキンケアのレシピなど、詳しくは、インスタグラム(@dito_1980)、ブログ(「キッチンから生まれるスキンケア」で検索)、FMまつもと「おはよう791」内のコーナー(毎月第4火曜午前7時40分~8時)で。