35年目のチェルノブイリ 現状伝える映画を松本で

1986年4月26日に発生したチェルノブイリ(旧ソ連、現ウクライナ)原発事故から今年で35年。
被災地の一つベラルーシを訪ね、そこで暮らす人々を丹念に撮影しドキュメンタリーを作ってきた映画監督で写真家の本橋成一さん(81、東京)、医療支援をしながら映画の製作に携わった認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)事務局長の神谷さだ子さん(68)。共に「原発とは何か」を問い続ける。
汚染された村々を2年前に訪問し、現地の今を伝える最新報告映像「人間の汚した土地だろう、どこへ行けというのか」を今春、製作した。この映像を含めた同監督の作品上映とトークを行う「35年目のチェルノブイリin松本」が11月3日、松本市で開かれる。

「私たちの問題」伝え続ける

どこへ行けっていうんだい。人間の汚した土地だろう─。
「映画を撮りだした時、82歳の老人に、どうして(村を)出ていかないか尋ねた際、返ってきた言葉だった。この方はもう亡くなったが、その言葉をどう生かすか、考えながら撮り続けてきた」
本橋成一さんは9月30日、JCF(松本市浅間温泉)の神谷さだ子さんらとオンラインで打ち合わせをした際、こう話した。チェルノブイリ原発事故で汚染されたベラルーシの村をJCFの訪問団員として1991年に訪れて以来、村で暮らす人々を撮り続ける。95年に現地で受けた衝撃の言葉が、最新報告映像のタイトルになった。
本橋さんが監督、神谷さんがプロデューサーを務めたドキュメンタリーは、「ナージャの村」(1997年)と「アレクセイと泉」(2002年)がある。11月3日には最新報告映像と合わせて、キッセイ文化ホールで上映する。
「人間の汚した土地だろう、どこへ行けというのか」を撮影したのは2019年10月。本橋さんと神谷さんらは2作の撮影地などを訪れ、ナージャさんやアレクセイさんと再会した。タイトルになった言葉を残した老人を知る村人とも出会った。「風景も人も昔のまま。彼らの思いも変わっていない。神谷さんの通訳でいろんな人に会い、収穫だった」と本橋さん。
神谷さんは「ナージャやアレクセイたちが笑顔で迎えてくれた」とし、人のつながりの大切さをかみしめた。ただ、高齢化や村外への流出などで暮らす人は減った。「(汚染で)日常の暮らしがこうして消えていくんだな、風前のともしびだと感じた」

チェルノブイリ原発事故から35年、2011年の東日本大震災に伴う東電福島第1原発事故が起きて10年。松本での上映会は、キッセイ文化ホール館長の金井貞徳さん(70)が、松商学園高校教諭で放送部顧問だった96年に生徒と一緒にベラルーシを訪れたこともあり「節目の年にぜひ松本で」と企画した。
「映画を見てくださった方が、イメージを膨らませ、どう感じてもらえるかが楽しみ」と本橋さん。神谷さんは「チェルノブイリが私たちの問題なんだと、原発ってこういうことなんだと、伝え続けていかなければ」と話している。

【35年目のチェルノブイリin松本】 11月3日午後1時~6時45分、キッセイ文化ホール大ホール。本橋さん、神谷さんらのゲストトークは4時10分~4時45分。ロビーでは関連写真展も。入場料は通し券が一般2000円、大学生以下1000円など。同ホールTEL0263・34・7100